「日本餃子協会」って2つあるの?名称の使い方と商標登録の考え方のまとめ
協会ビジネスがけっこう流行ってますね。そうなると団体名や情報発信するためのサイト名ってけっこう重要になってきます。既存の言葉を組み合わせた強い商標を登録しておくと、後々認知度が高まればその価値もあがるでしょう。
そんな時代を象徴するようなニュースです。どうやら「日本餃子協会」という名称を巡ってやりとりがなされているとか。その件について簡単にまとめました。
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名称の使用と商標登録のタイミングの時系列
こちらのサイトの公開情報から読むと、話題になっている方は2011年9月頃からウェブサイトを開設しています。一方、商標登録を持っている方は2011年12月に「日本餃子協会」を商標登録出願し、次の年の9月に登録が完了しています。そしてその後にウェブサイトを開設したとのことです。そこで商標登録を持っている「日本餃子協会」は、名称変更のお願いをしているものの、話題になっている方が応じないとの状況っぽいです。
「日本餃子協会」の商標登録の内容
商標登録は商標と指定商品・役務がセットです。そこでこの件をみると、商標「日本餃子協会」に対し、指定しているカテゴリー(区分)は43類で、その内容は「飲食物の提供,飲食物の提供に関する情報の提供,飲食物の提供に関する指導又は助言,飲食物の提供の契約の媒介又は取次ぎ」 となっています。つまりこのようなサービスについて「日本餃子協会」という名称を独占的に使う権利を持っているということになります。
これをもうちょっとわかりやすくいうと、たとえば「飲食物の提供に関する情報の提供」という部分で、ウェブサイトで餃子情報を発信するときに「日本餃子協会」を使うことについて独占する権利を持っているようです。また「飲食物の提供に関する指導又は助言」という部分で、餃子店に対して店舗営業のコンサルティングをするときに「日本餃子協会」を使うことについて独占する権利を持っているようです。
結局どうなの?
団体名やサイト名を商標登録して独占権を持つのは自由で、その権利を振りかざすのは本人の自由です。この件の場合、商標登録を持っている「日本餃子協会」としては、全く同じ名称を団体名やサイト名として使われているのは腑に落ちないといった心境ではないでしょうか。じゃなかったら商標登録なんてしませんよね。。。
結論をこの場でいうのは控えますが、話題になっている方の名称の使い方と商標登録の内容をを見ると、反論は厳しいじゃないかな~なんて初見では思ってます。話題になっている方としては、商標登録を持っている方より先に使っていたという事実に基づく権利をどこまで主張できるか?によって名称の使用続行も可能でしょうが、その主張が認められるのもけっこうハードル高いんです。。。
≪まとめ≫
商標法の事情、商標登録の内容とその威力、商標の使い方について説明しやすいニュースだったので、ザックリ解説させていただきました。知的財産権はケンカするためのものではないので、双方が納得する落としどころを見つけてもらえればいいなって思ってます。
2014年6月5日
著者 ゆうすけ
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