ひめゆりの塔から学ぶ、事実を伝え続けることの大切さ
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最終更新日:2014/05/06
教育論
沖縄旅行でどうしても行きたかったのがひめゆりの塔です。なぜならぼくは歴史が苦手、というか正直あまり興味がわかないんです。学生のときも、歴史は一夜漬けで暗記して点数だけ取ってしのいできました。だから現地に行かない限り、沖縄の歴史を知る術がないと思ったんです。その場に行って見て感じることが、歴史を学ぶ第一歩だと考えました。
そしてこの選択は想像以上に的中し、ぼくは沖縄の歴史のほんの一部かもしれませんが、事実を知ることができました。沖縄に行ったらひめゆり平和祈念資料館へ一度は立ち寄るべきところだとも感じました。
ここでぼくが学んだこととは、事実を伝える続けることの大切さです。事実を後世に伝えるために生き残らなければならない。辛い過去だからといって振り返らなければ、また過ちを繰り返すかもしれない。ひめゆり学徒隊の生存者の方々は、戦時中も戦後もそんな想いで日々を過ごしてきたのかなって思いました。だからぼくも、見てきたこと,聴いてきたこと,感じたことを、こうして記録に残し、伝え続ける必要があると考えています。
まずは事実を知り理解することから
戦時中のアメリカと日本の歴史的背景やひめゆり学徒隊については、ウィキペディアなどで詳しく載っているのでそちらを見てもらったほうが正確です。簡単に言えば、米軍におされていた日本軍は、本土に米軍を上陸させないように、沖縄を捨て石にして少しでも時間稼ぎができればいいと考えました。
そのときに日本兵の介護を担当するように命じられたのがひめゆり学徒隊です。戦時中なので介護訓練は受けていたものの、基本的には普通の女子学生たちです。だから戦線に介護要員として送りこまれても、日本軍が勝ってまた直ぐに日常生活に戻れると思っていました。だから戦線には勉強道具を持参していった学生がたくさんいたんです。
しかしその期待は大きく裏切られました。米軍との戦いで傷ついた日本兵が次から次へと送りこまれてくるのです。そして彼らの叫び声やうめき声が止むことはなく、ひめゆり学徒隊も不眠不休で介護にあたりました。そのため体調を崩す学徒隊員もでてくるほど。そんな生活が約90日間続きました。
そして精根尽き果ててきたある日、事態はさらに急変しました。それは敗色濃厚をみこした日本軍の突然の解散命令でした。これ以上戦っても負けるだけだから命令は出さない、その後は自分たちで判断しろ、という命令です。一方で、日本人として米国に降伏することは恥だ、という教育もされていました。そのため解散命令とは、逃げ切れなかったら自決しろ、つまり捕まる前に自分で命を絶てというものだったとも言われています。
事実を語り継ぐことへの使命感
そんな状況で介護病棟から脱出して逃げたひめゆり学徒隊員の状況は凄まじさの極みです。生存者の方々が回想するエピソードには以下のような内容がありました。
- 爆弾で吹き飛ばされた破片が体に刺さって苦痛を味わうのは絶対に嫌だったから一瞬で死ねるように祈っていた。そうしたら一緒に逃げていたAさんに破片が刺さり重傷となった。Aさんを担いで一緒に逃げようと思ったけどAさんは自分を置いていけと言ったから、泣く泣く逃げた。
- 海岸沿いをはだしで逃げ回った。海にはたくさんの死体が浮いていた。現在の(静かな)海からは想像もつかないだろう。そしてその光景はずっと頭の中に残っている。だからしばらく海に行くことができなかった。
- 峠を越えたと思って広いところに出たら米軍のエリアだった。そのとき照明弾が打ち上げられ一瞬のうちに一緒にいた学徒隊や日本兵が負傷した。なんとか生き延びたものの身動きが取れなかったため軽傷の日本兵に自決することを申し出た。しかし日本兵は、学徒隊を殺めることはできない、生き延びてこの事実を後世に伝えなければならないと言い、自決することなく米軍の捕虜となった。
最終的には沖縄の南部もほとんど米軍に制圧され、逃げ切れなかった日本兵やひめゆり学徒隊員には自決した方もいたようです。捕虜になるのは恥だから自決するという戦争に対する日本の思想が信じられないくらいに浸透していたんです。
このようにお亡くなりになった方々の実際のエピソードは決して語られることはなく、もっと酷い事実があったかもしれません。だから生存者の方々も自分たち一人ひとりの力は弱く、何かを変える力はないとも自覚していました。しかし決して忘れてはいけない沖縄の歴史を伝え続けることの大切さも、生存者の方々は皆自覚していました。
≪まとめ≫
エピソードにもあるように、ひめゆり学徒隊の生存者の方々は、沖縄の悲惨な事実を後世に語り継がなければならないという使命感をお持ちのようです。二度とこのようなことは繰り返してはならないと。そしてその使命感を感じ、ぼくのように想いを発信することが、後世に生きる人々の使命なのかもしれません。
2014年5月5日
著者 ゆうすけ
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