この製品のつくり方はいまだかつてない!というアイデアは特許出願すべきか?
今日お会いしたお客様の話。そのお客様はあるモノ(詳細は秘密)をつくっている会社の社長さんです。完成品ではなく、完成品をつくるための素材といったほうが正しいかもしれません。
photo credit: Jordanhill School D&T Dept via photopin cc
特許出す前に似たたつくり方がないかネットで調査
社長さんはその製品のつくり方を意図的に狙って発明したというより、いろいろ試してみたら偶然発明したそうです。そしてそのつくり方を関係者の方に話したところ、それはひょっとしたすごいんじゃないの?いまだかつて聞いたことないよ!と驚いたといいます。
関係者の方もその道30年のベテランです。いや、誰かしら同じようなことを考えてるじゃないだろうか?と思い、グーグルでそのつくり方のキーワードを入力して検索してみました。しかしまったく見つからなりませんでした。むしろ全く逆転の発想なんじゃないか?と思いはじめたそうです。だからここは特許を取っておいたほうがいいんじゃないかってあわてて相談に来られました。
その製品のサンプルを見つつ、従来のつくり方と比較しながら今回発明したつくり方の特徴を聞きました。いままではA工程だったけど、今回の発明はB工程とC工程にしたことで、素材の仕上がりが良くなるというもの。話を聞く限り、たしかにこれはすごい発明かもしれないな~と心の中では思っていました。社長さんや関係者の方も特許が取れそうかどうか気になっている様子です。
バレないつくり方なら特許は出すな
しかしぼくはどうしても最初に聞きたいことが一つあったんです。社長さんはちょっとこわもてで気分を悪くさせちゃったらどうしよ~と思いつつ、勇気を出して聞いてみました。「その製品を見たら、そのつくり方でつくったこと、バレちゃいますか?」って。
そうしたら関係者の方はこうおっしゃいました。「その道のプロが見たとしても、最初はかなり考えるでしょうね。どうやってつくったんだろうって。でもいろいろ試行錯誤すればバレるかもしれない」と。 それを聞いた瞬間、ぼくは特許出したほうがいいと思いました。なぜならその業界自体ニッチだから、製品を研究・分析されてバレるのは時間の問題かなって考えたからです。
そもそもなんでそんな質問したかというと、バレないんだったら特許なんて出さないほうがいいですよって言おうと思ってたんです。特許出すとそのつくり方がオープンになるので、特許が切れたらそのつくり方を真似されても文句が言えません。
≪まとめ≫
特許の有効期限(出願してから20年)が短いと考えるか十分と考えるかは、その製品のライフサイクルや業界のトレンドによりけりです。独り占めではなく、大切なアイデアをよくわからない輩につかわせないことが特許のあるべき姿です。
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2014年4月23日
著者 ゆうすけ
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