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商標と特許を両方登録する意味は?「梅リグナン」から学ぶブランドデザイン戦略

公開日: : 最終更新日:2014/11/15 特許, 特許戦略

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ブランドとはビジョンでありストーリーであり、それを伝えるネーミングやロゴであり、それらをトータルでデザインしたものであり、決して一言では語りつくせません。だからブランドをつくるだけじゃなく、ブランドを守る努力もしないといけないわけです。一朝一夕にブランドはできあがらないので、外乱はなるべく避けたいところです。

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成分量の表示はブランド効果が高い分真似されるリスクも高いので特許で保護

でもネーミングやロゴを商標登録するだけでは足りないときがあります。できればアイデアそのものを保護したいところ。そんなときは特許の取得を検討すべきです。特許はある課題を解決する技術的なアイデアに付与されるからです。 

このロゴの最大のポイントは、梅イメージの踏襲とは別のところにある。それは、「梅リグナンが含有されています」というだけでなく、梅リグナンの「含有量」をしっかり表示していることだ。紀州梅効能研究会が持つ梅リグナン計測技術という特許を最大限に活用し、生活者に新しい気づきを与えるのである。(p112) 

「でもこれ、競合にパクられへんかな?一生懸命、梅リグナンを盛り上げて、世の中に広まったら、競合もパッケージで『梅リグナン』って書き出したら、ウチらが何のためにやってきたか、わからへんで」
・・・
「いや、大丈夫ですよ。『梅リグナン』という特定の成分をパッケージに表示しようと思ったら、梅リグナンが何グラム含まれているかを栄養成分表示に記載しなければいけません。でも、梅リグナンの測定機器に関する特許を持っているのは、紀州梅効能研究会だけなので、競合はそもそも含有量を測定できない。栄養成分表示に含有量を表示できないので、パッケージに『梅リグナン』と表示することもできないんです」(p115)

<引用:「経営はデザインそのものである」>

ブランド名として商品名をそのまま使うこともできるし、一部に含めることも当然できます。『梅リグナン』の場合、梅に含まれているリグナンという成分名と組み合わせることで、健康によい食物であることを全面的にアピールしています。さらにロゴには、梅100gに含まれている梅リグナンの量が500μgであることを明示することで、より具体的に健康食品であることを伝えています。

しかしこのように、健康食品に含まれるある成分量を教えてしまうと、この成分量を真似して同じ商品が作られてしまうリスクもあります。だから紀州梅効能研究会の社長たちは、「500μg」という数字を載せることに不安だったんです。(されていないようですが)仮にロゴを商標登録したとしても、商標権では同じリグナンの含有量の梅干を作る行為をやめさせることはできません。

そこで活躍するのが特許です。特許なら500μgのリグナンを100gあたりに含有する梅を製造するアイデアを保護することができるからです。本書では「梅リグナン計測技術」「梅リグナンの測定機器」に関する特許と書かれていますが、おそらく「梅干しの製造方法及び梅干し(特開2011-062140号公報)」だと思います。これで理想的にリグナンを含有する梅干のつくり方の特許がとれれば、『梅リグナン』ブランドは強力に保護することができるでしょう。

≪まとめ≫

投資分のメリットが特許にあるかないかの判断は簡単ではありません。技術の進歩や流行に影響するからです。それを検討するくらいなら投資する価値は十分あるはずです。特許を出すことは登録する以外にも、技術を管理したりそのアイデアを最初に考えたことを客観的に証明することができるからです。

経営はデザインそのものである

2014年4月22日

著者 ゆうすけ

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  • 弁理士/監査役/ブロガー。中堅企業、中小・ベンチャー企業、スタートアップに適した知的財産活動を提案。 「地域発 ヒット商品のデザイン」でネーミングと商標登録のコラムを掲載。
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