iPS山中教授もオススメ!ノートに記録することはビジネスの攻めにも守りにもなる
ノートに書け、メモをとれってよく言いますが、どれだけ重要なのかぼくはあまり考えたことがありませんでした。でも先端技術を研究している人たちが必死でノートに記録し、しかも大切に管理しているという事実を知ると、有意義なことだって感じます。
研究者はノートづくりも能力のうち
CiRAでは、第三者が実験ノートに目を通すことを想定。研究を特許などの知的財産戦略へつなげる目的も兼ね、知財担当者が2カ月に1回、全員のノートに目を通している。理研でも、実験ノートを5年間は保存することを内規で義務づけている。
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薬品の使用量や投与のタイミング、その日の天気や研究室の室温まで、熟練者ほど記録は詳細になる。新発見や間違った結果が出たときに、さかのぼって原因を検証する材料になるからだ。長尾教授は「不正をしていない証拠を残すことよりも、実験を科学的に再構築できることが最大の目的だ」と強調する。<引用:2014/4/9 産経ニュース「STAP論文 3年で2冊はありえない? 科学者の命「実験ノート」とは」)>
「新発見や間違った結果が出たときに、さかのぼって原因を検証する材料になるからだ」、この部分がノートに記録する最大の理由でしょう。記録したことで、いつ(when)、だれが(who)、なにを(what)、どこで(where)、なぜ(why)、どのように(how)したかわかるため、PDCAサイクル(Plan→Do→Check→Action)が回しやすくなります。
フィギュアスケートの羽生選手も「発明ノート」と称して、日々の記録をノートに書いていたからこそ、2013年のシリーズ三冠に輝いたのではないでしょうか。
<参考> 金メダルをとった羽生選手の「発明ノート」から学ぶ、目標を達成する名付けと記録
権利侵害とは言わせない!ノートづくりは重要
ノートはアイデアを貯めておき新しいアイデアを生むためだけのものじゃありません。自分の身を守るためのものでもあります。
例えば具体的には誰にも教えていないアイデアなのに誰かに先に特許を取られてしまった、なんてことがあります。こんなとき特許をとった人は、そのアイデアを独占する権利があるため、勝手に使ってる人に対してやめなさいって言えます。でも、やめろって言われても、先にはじめたのは自分なのにな~なんて思うかもしれません。
こんなときどっちが先にはじめたかわからないと、特許権を侵害していることになってしまいます。そう言われないためにも、ノートづくりは重要なんです。
➁研究ノートの作成方法
ⅰ)長期間保存に耐えられるものを使用
ⅱ)差し替えできないノートを使用
ⅲ)筆記具にはボールペンなどを使用
ⅳ)連続頁番号順に使用
ⅴ)貼付する資料には日付とサインを記載
ⅵ)研究ノートを適切に管理
ⅶ)第三者が理解できるように記録<研究内容記載頁の一例>
<引用:特許庁「先使用権制度の円滑な活用に向けて-戦略的なノウハウ管理のために-」>
このノートがあれば万全!というわけではありませんが、少なくともこのときからこんな内容のアイデアを考えてたとか実験してたとかは言えます。
≪まとめ≫
ノートづくりが目的になってはいけませんが、山中教授もいいように、ノートを汚くつかうのはよくありません。振り返りたくなくなるからです。ぼくも以前から記録は残していたものの、殴り書きだったので見直しとかせずに処分してしまったこともあります。紙のノートやブログなど記録の仕方はいろいろありますが、意識したいのは検索しやすいこととまた振り返って学べることです。だからぼくはブログを記録ノート代わりに使っています。
2014年4月9日
著者 ゆうすけ
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