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2013年B級グルメグランプリは「なみえ焼きそば」 町興しとブランドづくり

公開日: : 最終更新日:2014/11/15 商標事例研究, 商標戦略 ,

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「なみえ焼きそば」は福島県双葉郡浪江町の名物で、昭和30年(1955年)から極太の麺を使ってつくったのが発祥です。その後、町興しのために浪江町商工会青年部が2008年に「浪江焼麺太国(なみえやきそばたいこく)」を設立しました。

しかし2011年に東日本大震災による福島原発の影響でメンバーはバラバラに。それでも2011年と2012年のB級グルメグランプリでは4位に入賞する快挙を達成。

さらに2011年には日清からカップ焼きそばとして発売されるなど、注目度が高まってきたこともグランプリを獲得できた勝因なのではないでしょうか。

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観光客を守るのも町興しの一環

B級グルメによる町興しは定着してきました。「富士宮焼きそば」や「八戸せんべい汁」など全国的に有名になったB級グルメも多いです。

そうなるとやはり気になるのがパクリ業者です。B級グルメの人気に便乗して、無許可で販売するだけでなく、規定の食材を使わずに粗悪な商品が出回ってはたまったもんじゃありません。

特に地域外から来る観光客には、例えば高速道路のサービスエリアなどで「〇〇名物●●焼きそば」なんて書かれると、本物か偽物か区別がつきません。そういう業者を取り締まることも、町興しには大切です。

地域ブランドを守ろう

国としても地域の活性化は課題であり、ブランド名を真似されないように商標登録することをオススメしています。そのため2006年から、地域の名産を管轄する団体に対し、ある要件を満たせば特別にその名称(例えば、「関さば」や「関あじ」)をブランド名として商標登録できる制度をつくりました。これが「地域団体商標制度」です。

基本的に、「関さば」や「関あじ」など、「地域+物品」を組み合わせた名称は、商標登録できません。誰もが使う一般名称だから、独占させるわけにはいかないからです。しかし産地が違うのに「関さば」とか名乗って売ってしまうパクリ業者が現われました。そうなると品質管理ができなくなります。

そうなって一番困るのは、ぼくら消費者です。何が本物で何が偽物か?見た目や味で判断できる人はまずいないでしょう。

地域団体商標の登録要件が緩和される可能性あり

しかし今のところ、地域団体商標を登録できるのは、条件を満たした団体のみです。つまり、B級グルメのネーミングをブランド保護しよう!と思っても、単なる町の青年が集まって作られたチームでは、商標登録できないわけです。

そこで政府もそういう事情を考慮して、法律を改正しようとする動きがあります。

「また、我が国の各地域においては、その地域の特産品等を「地域ブランド」としてブランド化する取組がある。近年では、ご当地グルメなど伝統的に地域ブランドと認識されていなかったものが、「新たな地域ブランド」として注目され、その普及活動が各地域で活発になされており、地域の活性化や地域産業の発展に貢献している。しかし、現行の地域団体商標制度は、このような「新たな地域ブランド」の担い手である商工会、商工会議所、特定非営利活動法人等を登録主体としていないため、「新たな地域ブランド」を十分に保護することができないとの指摘がある。そこで、これらの団体を地域団体商標の登録主体とすること等により、更なる地域の活性化につなげる必要もある。」(平成25年2月 産業構造審議会知的財産政策部会商標制度小委員会報告書 新しいタイプの商標の保護等のための商標制度の在り方について(案)P1)

そもそも町興しは誰がやっていいものだし、むしろノリでやってみよう!という勢いがないと、なかなか話が進まないのではないでしょうか。だから当然、形式的なことなんて考えてられないはずです。しかも売れなければブランドもくそもないため必死です。

そしてようやく売れてきてブランド価値が高まって、そろそろ商標登録しよう!なんて思ったときに、条件を満たしていないから登録できない、というのはあんまりではないでしょうか。

≪まとめ≫

B級グルメという文化は万国共通で、海外でも屋台の安い一品が実はこの上なく美味しかったりもします。なので、日本人だけじゃなく、海外の観光客も巻き込んで日本の地域文化をどんどん発信していくべきではないでしょうか。そのためにB級グルメのブランド保護もちゃんと検討すべきです。

<参考>

B―1日本一は「なみえ焼そば」 震災離散乗り越え栄冠(スポニチ)
浪江焼麺太国公式ブログ
なみえ焼きそば – Wikipedia
産業構造審議会知的財産政策部会商標制度小委員会報告書 新しいタイプの商標の保護等のための商標制度の在り方について(案)
ご当地名物を守るためには商標登録が必要な3つの理由

2013年11月12日

著者 ゆうすけ

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  • 弁理士/監査役/ブロガー。中堅企業、中小・ベンチャー企業、スタートアップに適した知的財産活動を提案。 「地域発 ヒット商品のデザイン」でネーミングと商標登録のコラムを掲載。
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