ご当地名物を守るためには商標登録が必要な3つの理由
先日、「山形名物玉こんにゃく」が商標登録されたニュースが報じられました。「山形名物玉こんにゃく」は山形県こんにゃく協同組合の登録商標です。でもこれって何の意味があるの?て思う方も少なくないはずです。
そこで「山形名物玉こんにゃく」を例にして、ご当地名物を守るためには商標登録が必要な3つの理由をまとめました。
1.商品の品質を維持できる
そもそも山形県のこんにゃくは消費量が日本一だそうです。また玉こんにゃくのルーツは江戸時代。当時、砂糖や米粉が入手しにくかったため、団子の代わりに玉状のこんにゃくを串に刺して食べたという説があります。そのため玉こんにゃくは山形県にとって大切な産品となりました。
玉こんにゃくが山形県の名物となったため、「山形県名物」とうたえば玉こんにゃくが売れるようになりました。そのため東京でつくられた玉こんにゃくでも、「山形名物」とつけるだけで売れてしまうわけです。
そうなるとおいしくない玉こんにゃくも、「山形名物玉こんにゃく」としてお客さんに買われてしまいます。するとお客さんは、ん?これが山形名物??と疑ってしまうわけです。これでは山形県の信用が台無しです。
そこで「山形名物玉こんにゃく」というネーミングを使いたいなら、山形県こんにゃく協同組合が認めている玉こんにゃくをつかってくださいね、いやなら「山形名物」とつけないでくださいね、と言えるようになります。つまり商品の品質を管理できるわけです。
2.ご当地名物の人気に便乗する業者を取り締まれる
山形県こんにゃく協同組合の許可がなければ「山形名物玉こんにゃく」を使っちゃいけませんよ、とはいっても、売れる商品とわかれば簡単に言うことは聞きません。
たとえば地域経済の収入源の一つに、高速道路のサービスエリアがあります。ここでは県外の観光客があつまるため、お土産やご当地グルメが売れます。ここでよく目にするのが「〇〇〇名物XXX」という看板。
「名物」というフレーズに観光客は弱いはずです。そして旅行なので財布の紐もゆるみがちです。そのため即買いするでしょう。お客さんから見れば、商品が山形県こんにゃく協同組合の認めたものかどうかなど知りようがありません。
そういったご当地名物の人気に便乗する業者を取り締まれるためには、商標登録しておくことが必要です。これは県外の業者の場合も同じです。
3.地域経済に貢献できる
結局、1と2を実行することは、地域活性の貢献につながります。ご当地名物の品質を管理をすれば、地元の加工業者、運送業者、小売店などの売上になります。
またご当地名物の人気に便乗する業者を取り締まれば、山形県内の特定の店でしか「山形名物玉こんにゃく」が買えなくなります。このため山形県内に観光客を呼び込めます。
まとめ
地域経済の活性化のためにご当地名物を利用するなら、商標登録は必要だと思います。地域団体商標の制度もかわりそうです。またご当地B級グルメのように、ネーミングをアレンジしてプロモーションすることも可能です。
2013年6月9日
著書 ゆうすけ
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