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「バリューセット」と「マックスバリュー」から学ぶ商標登録の方法

公開日: : 最終更新日:2014/11/15 商標事例研究, 商標戦略 , , , ,

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「バリューセット」といえばマクドナルドの定番商品ですが、そもそも「バリューセット」が商標登録されているのはおどろきではないでしょうか(わたしはおどろきました(笑))。

また「マックスバリュー」といえばイオングループが展開するスーパーマーケットの店名です。マクドナルドとイオンは業種がことなるため商標の問題であらそいになることはありませんが、「バリュー」という共通の単語をふくんでいます。そこで「バリューセット」と「マックスバリュー」がどのように商標登録されているかをひもといてみましょう。

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まずは「バリューセット」から。これは平成10年(1998)1月30日に商標登録されています。商標登録をもっているのは、本家のマクドナルドインターナショナル。バリューセット自体は平成6年(1994)に開始されたので、登録されるまでのタイムラグが4年ほどあります。「バリューセット」を日本語でいうと「価値ある一組」。なんか普通っぽい言葉だな~っておもいませんか?

でも「バリューセット」が商標登録された背景でもっともだいじなことは、平成10年当時の外食産業で、いろいろな食べ物や飲み物をひとつまとめた定食のようなものを「バリューセット」という言葉で一般的にあらわしていたかどうか?ということです。つまり平成10年のころはまだ「バリューセット」という言葉は外食産業で一般的につかわれていなかったため、商標登録がみとめられたとかんがえられます。そして商標登録がみとめられたことで、「バリューセット」というネーミングは、外食産業においてマクドナルドがひとり占めできるわけです。ちなみに「ハッピーセット」も「バリューセット」と同時にマクドナルドインターナショナルが商標登録しています。

つぎに「マックスバリュー」です。これは平成8年(1996)10月31日にイオンが商標登録しています。ネーミングはちがいますが、「マックスバリュー」を日本語でいうと「最大の価値」。「バリューセット」と同じく普通っぽいですよね。

でもマクドナルドの「バリューセット」と大きくことなるのは、イオンがスーパーマーケットということ。つまりイオンが販売する商品は飲食物や電化製品で、これらの商品について「マックスバリュー」というネーミングは、これらの商品の価値や品質をあらわしたにすぎないものです。したがって「マックスバリュー」という言葉がスーパーマーケット、いわゆる小売業界で一般的につかわれていたかどうかに関わらず、商標登録はみとめられない可能性がたかいとかんがえられます。

そこでイオンは「マックスバリュー」という言葉を商標登録するために工夫をしました。まず「MAX VALU」というアルファベットを上、「マックスバリュー」というカタカナを下にかきました。え?そんなの意味があるのかって?ご察しのとおり、ただ単にアルファベットとカタカナを二段書きしても結果は同じです。商標登録はみとめられないでしょう。ところがイオンは「マックスバリュー」の「バリュー(VALUE)」のうち、末尾の「E」を抜いて「VALU」としたのです。これにより「マックスバリュー」ともよめる新しいネーミング「MAX VALU」が商標登録としてみとめられました。ちなみにイオンは平成10(1998)11月から「マックスバリュー」を「マックスバリュ」に改名してます。

同じ単語でも業界や販売する商品がちがうと商標登録がみとめられる可能性もちがうため一言ではいいきれませんが、普通っぽい言葉で商標登録がみとめられればビジネスで強力な武器になることはまちがいありません。なぜならライバルが真似したくても真似できないからです。また普通っぽい言葉でも、「MAX VALU」のようにスペルを工夫すると登録される可能性があがります

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  • 弁理士/監査役/ブロガー。中堅企業、中小・ベンチャー企業、スタートアップに適した知的財産活動を提案。 「地域発 ヒット商品のデザイン」でネーミングと商標登録のコラムを掲載。
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