長浜ラーメンは『店名』の商標登録が原因で裁判沙汰に!?
【仁義なき長浜ラーメン☆店名(天命)をかけた戦い】
2013年3月6日に福岡地裁がくだした判決により、店主と元従業員のうったえはともにみとめられませんでした。つまり元従業員さんは「元祖長浜屋」の店名をつかってもいいということですね。でもそもそもなぜこのような騒動がおこったのか?騒動のポイントはどこか?その渦中の人間模様はいかに?という視点で、わかりやすくまとめてみました。
まずこの戦いの中心である「元祖ラーメン長浜家」は、2009年にはじまりました。おそらくはじめは店主さんと従業員さんのなかはよかったことでしょう。「これからこのラーメン屋をおっきくして天下をとろう!」なんて会話も想像できます。なぜならもともと店主さんと従業員さんは、60年前にオープンした老舗のラーメン店「元祖・長浜屋」でともにはたらきおなじ釜のめしをくったなかだったからです。
ところが2010年4月、この従業員さんが「元祖ラーメン長浜家」のちかくで自分の店をひらくことになりました。開業してわずか1年後、二人の間になにがあったのかわかりませんが、いい関係がたもてなくなってしまったようにおもえます。労働条件か?金銭か?それとも人間関係か?経営側と労働側とのトラブルはしかたがないにしろ、問題はおなじ店名でオープンしたということです。その店名はズバリ、「元祖長浜屋」です。
ではなぜおなじ店名でひらいたことが問題か?ということわかりやすくひもときます☆
まずうえの写真をみてください。こちらは「元祖ラーメン長浜家」が商標登録されていることをしめします。左の真ん中あたりにかいてある【出願日】、つまり元祖ラーメン長浜家の店主さんが、よし!「元祖ラーメン長浜家」を商標登録しよう!とおもいたって申請したのが、2010年1月21日です。
ここでカンのいい人はきづかれたかもしれませんが、元従業員さんが自分の店をひらいたのが2010年4月。このたった3か月前に商標登録の申請をしているわけです。つまり店長さんは「元祖ラーメン長浜家」という店名をだれにもまねされないようにしたかったから商標登録の申請をしたはずです。商標登録の申請の前に、店長さんと元従業員さんとの間で店名にかんしてなにかしらのやりとりがあったことがこのことから推測できます。
そして「元祖ラーメン長浜家」は、申請から約5か月後の2010年6月4日に商標登録されました。この日をさかいに、「元祖ラーメン長浜家」と同じ店名をつかいたい場合、元祖ラーメン長浜家の店主さんに許可をもらわないといけなくなりました。もし許可をもらわないでつかった場合、
店主さんから、ねーねー、うちの店名つかうのやめてね(^o^)/!といわれてしまうのです。つまり元従業員さんは、自分の店名「元祖長浜屋」が店名「元祖ラーメン長浜家」と似ているから使っちゃいかんよ!といわれてしまったわけです><。
使っちゃいかんよ!といわれてもすでに自分の店をオープンしちゃったし、とちゅうで店名かえるのはやだな~っておもった元従業員さん。ではどうしたかというと、、、「元祖ラーメン長浜家」の商標登録をつぶしにかかったのですo(メ`□´)。これを法律用語でいうと、「「元祖ラーメン長浜家」の商標登録は無効である」という主張を特許庁にしました(商標登録無効審判の請求)。これは一般的な対策であり、自分の店名をつかいつづけるためには目の上のタンコブをとりのぞきましょう!というものです。
そして2012年3月24日、元従業員さんの主張が認められ、「元祖ラーメン長浜家」の商標登録は認められるべきではなかったよ、という判断がくだされました。ところが、この判断に店主さんも黙っていません!そんなはずはないでしょ(?_?)!?この判断はおかしい!ということを特許庁にいいかえしたのです(審決取消訴訟の提起)。
そのかいもあってか、2012年10月9日、やっぱり「元祖ラーメン長浜家」の商標登録はただしかったねヾ(^-^;)、という判断がくだされました。つまり元従業員さんの主張はまちがってたよ、という結論にいたったわけです。
さらに元従業員さんに追い打ちをかけるように、店主さんから痛恨の一撃!( ̄▽ ̄;)!!ガーン。なんと店主さんが「元祖 長浜屋」の店名の使用中止と、約1300万円の損害賠償を請求した裁判をおこしたのです。簡単にいうと、店主さんのいいぶんは2つ。1つは、店名「元祖 長浜屋」が「元祖ラーメン長浜家」と似てるから使わないでね、ということ。もう1つは、元従業員さんが「元祖ラーメン長浜家」と似てる「元祖 長浜屋」で商売しちゃったからさ、お客さんがそっちのお店に流れちゃった分、儲からなくなっちゃったから、その分のお金(たぶん1300万円くらい)ちょうだいねオリャー!!(ノ-o-)ノ、ということです。
これは大変だ!というわけで、元従業員さんは起死回生の一手をうちました。それが以下です。
写真のとおり、元従業員さんは自分の店名「元祖 長浜屋」を2012年10月24日に商標登録の申請をしました。これはなぜかというと、店主さんの商標登録がつぶれないのなら、自分が店名「元祖 長浜屋」を商標登録しちゃおう!そうすれば、店主さんに文句いわれずにつかいつづけられるよね、というものでしょう。
さらにこれだけではありません。元従業員さんは、店主さんからおどされた!などの理由をつけて、440万円の損害賠償を請求する裁判をおこしました。つまり目には目を!カウンターパンチですねo(メ`皿´)○。
こうした激しい攻防の末、2013年3月6日、福岡の裁判所にて結論がでました。それはズバリ、
店主さんのいいぶんは認めない、というものです。つまり、元従業員さんにたいして「元祖 長浜屋」という店名をつかっちゃダメ!といういいぶんと、元従業員さんから1300万円分を賠償してもらういいぶんは認めないよ、ということです。店主さんのいいぶんが認められなかった最大の理由は、元従業員さんが開業する前に「元祖長浜家」という店名をつかってもいいよ、ということが紙(覚書)にかいてあったからです。
この「仁義なき長浜ラーメン☆店名(天命)をかけた戦い」、これにて一件落着チャンチャン♪といいたいところですが、店主さんはこの結論に不満のようです(  ̄っ ̄)ムゥ。
この戦いは引き続き追っていきたいと思います☆
<追記 2014/1/24>
その後、店主のいいぶんは認めない、という判断について、それはおかしい!と反論した店主さん。しかしその反論はまたもや却下(控訴棄却)されたようです。
その理由は、「両者が交わした覚書によって類似した商標を使用し、近くで開業することを認めたといえる」と裁判長が判断したから。やはり書面でやり取りした証拠は、ケンカになったとき強いですね。逆にいうと、書いたことには責任を持たないとまずいということです。
参考:長浜ラーメン訴訟、原告の控訴を棄却 福岡高裁判決 [福岡県]
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