知財をメジャーにするパテナビの活動
「知財をメジャーに」をテーマにした特許関連のフリーペーパーを運営するパテナビさんの飲み会兼ミーティングに先日参加してきました。参加者は、弁理士のみならず、弁護士、企業の知財担当、某庁の方など、早々たるメンバー。
軽い世間話から「知財をメジャーに」するための本質的な議論までみなさんと意見交換。飲みながら知的財産(以下、「知財」)の意義を本気で考えるパテナビさんの熱意が伝わってきました。
社会的課題の解決に挑むパテナビ
パテナビさんについては1年くらい前にこのブログでも紹介したことがあります。ただ、そのときは活動内容の本質というより、特許に関するフリーペーパーそのものが目新しかったので注目してみました。
でも、あれから早一年が過ぎ、この活動の影響は業界にも拡がりつつあると感じています。2015年6月からは特許庁主催の「特許ウォーカー」というフリーペーパーの発行も開始されました。
フリーペーパーという媒体に限定しなければ、昔から知財の情報発信はされています。ただ、知財の専門家であったとしても、どれもかなり気合を入れないと読み難い内容(判例解説とか)だったと思います。
知財のニュースや求人情報を集めるキュレーションサイトも10年以上前からあります。たしかに、知財の最新情報はお手軽にゲットできますが、これらも基本的に知財の有識者(弁理士や知財部員)向けで、知財の活用を検討したい人向けではありませんでした。
つまり、昔から知財の情報発信はされてきたものの、今だに知財がメジャーではないと仮定するならば、その理由は、今まで発信されてきた情報に、トレンドに沿った感じ(話題性)や、人に教えたくなるような感じ(口コミ性)や、繰り返し見たくなる感じ(リピート性)が足りないのでは?と考えられるわけです。
一方、2002年の小泉内閣以降、知財は国の重要テーマになっています。単なる物売りの時代から価値・ブランド・経験を売る時代に移行したため、それらに伴う知財の取り扱いは、今後の日本の産業を支えるものとなるという思想でしょう。
しかし、知財の情報を発信する専門家や知財の活用を勧める国ががんばっても、実際に知財を活用する企業に意識が芽生えなければ意味がありません。出願件数に限らず、知財の活用事例の増加を知財のメジャー化と定義するならば、その実現はまだ遠いかもしれません。
つまり、知財のメジャー化は社会的な課題といっても過言ではないでしょう。そのため、知財のハードルを下げ、知財の専門家や国と企業との温度差を縮める活動を、パテナビさんは誰よりも真剣に考えて取り組んでいると感じています。
≪まとめ≫
誰もやらないなら自分たちがやる!パテナビを運営する田中さん(写真下列左)・斉藤さん(写真下列右)はそうおっしゃっていました。壮大な課題解決へのチャレンジを、引き続き応援しています。もしパテナビさんの活動に何か感じた方がいらっしゃれば、ご連絡してみてはいかがでしょうか。きっとウェルカムだと思いますよ^^
2016年2月9日
著者 ゆうすけ
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