特許の取得と活用は企画力がものを言う!技術畑の研究者だけでは厳しい><
大企業の休眠特許の活用が話題になっていますが、新たな創作活動に伴う特許の取得も重要な国策です。
でも、休眠特許をどう活用したらいいかも、意義ある特許をとるにはどうしたらいいかも、あまり語られていません。
結論からいうと、どちらも企画力がものを言います。なぜなら、事業化するなら儲からないといけないわけで、そのためには企画がないと事業として成立しないからです。
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特許の取得と活用は企画が大事
売れる商品を作るという特許の出口戦略を文系力に求めた。図面通りにつくるのは得意だが、マーケティング力は乏しい中小企業の弱点を大学生の若くて斬新なアイデアで補おうというわけだ。
<引用:2015/06/23「【視点】大学の「文系力」生かす 開放特許活用で中小企業に商機 」>
まず、特許をとるときに考えておくべきことは、そのアイデアが実現するとどんな良いこと(効果)があるかということ。
iPS細胞のように今だかつてない効果がある大発明なら特許になりやすいけど、中小企業の場合はそうもいかないのが現実でしょう。
そのため、そのアイデアを商品化したら、どんな人がどんなメリットを得てどうなるかを検討し、それらを効果として特許の書類に書いておきます。
そうすると特許庁の審査官さんに、これは特許にしてもいいアイデアだ!と判断してもらいやすくなります。
つまり、アイデアをいかに役立つか見せるという観点でいえば、マーケティングも特許も同じです。ようは、企画力がものを言うわけです。
開放特許の活用によるビジネス創出に積極的な富士通の吾妻勝浩氏は「文系は商品アイデアを出すだけでなく、市場や販路などを調べて商品化後の出口も設計する。事業計画まで落とし込むこともある」と文系力を評価する。
<引用:2015/06/23「【視点】大学の「文系力」生かす 開放特許活用で中小企業に商機 」>
企画力とは、商品の中身(コンテンツ)だけではなく、その原価や利益を見越した売価設定、製作、品質管理、物流、広告宣伝など、利益を得るための施策。
ここまで語れる研究者はそういないんじゃないでしょうか。しかも世代によって発想も違うので、外部の人材の活用も必要かもしれません。
大企業の特許は、どちらかというとおかたい内容(基本特許に近いもの)が多いため、それらを活用するには、やっぱり企画力が必要です。
≪まとめ≫
休眠特許になる原因は、特許そのものの良し悪しではなく、企画の良し悪しで決まると言えるかもしれません。企画がないのに特許で儲けようというほうが無理な話です。逆に言うと、いい企画ならばそのアイデアそのものを特許で守る価値が十分あるわけです。
2015年6月24日
著者 ゆうすけ
<関連> 平成 27 年度「地域中小企業知的財産支援力強化事業」の交付先が決定しました
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