地方創生とモノづくりと特許の循環に期待!都道府県別の出願件数もチェック!
アベノミクスの政策として注目されている地方創生。その中には、地方企業のモノづくりを支援する動きも見受けられます。国としても、グローバル企業に通用する技術やアイデアのタネを開花させたいところででしょう。
そういう技術やアイデアの創作サイクルが回れば、それらを知的財産として保護するために特許を出願する機会も増えるはずです。その点については、政府も積極的に取り組んでいるようです。
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地方創生とモノづくりと特許の循環に期待!
視察後、安倍首相は「地方において、創意工夫で新たな活力を引き出していこうと頑張っている皆さんを応援していきたい」と述べたうえで、地方の中小企業の知的財産保護を推進していく方針を示した。
<引用:2015/4/12 FNN 「安倍首相、石川県と福井県訪問し地域活性化の取り組みを視察」>
中小企業にとって特許のハードルが高い理由は、資金不足・マンパワー不足・知識不足などが考えられます。その点を政策でどうフォローするかが一つのポイントでしょう。
でも、政策に依存していても仕方がないので、中小企業自らが事業活動に知的財産を取り入れ、権利として保護したり、ノウハウとして保護したり、それらをまた商品開発や営業に役立てたりする姿勢も大切です。
例えば、工具メーカー「エンジニア」は、社長のみならず従業員も知的財産を勉強し、事業活動に取り入れて成功している好事例です。このような活動が循環することで、地方創生により一歩近づくのではないでしょうか。
都道府県別の特許出願件数もチェック!
そういう意味で考えると、都道府県別の特許出願件数は、地方創生のバロメーターになるかもしれません。タイムラグがあるものの、特許庁が毎年統計を公開しています。
<引用:特許行政年次報告書2014年版「都道府県別出願件数表(日本人によるもの)(1)特許(PDF:6589KB)」>
例えば、上の表は、2014年版のデータです。これを見ると、2013年では山形県の件数が増加しています。件数自体305件と多くはないので、特定の企業が例年より多く特許を出願したと推測できます。
一方、首都圏(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川)では、軒並み特許出願件数が減少しています。東京の件数がダントツで多いんですが、首都圏に本拠地を置く企業の特許活動がやや鈍化しているとも考えられます。
ちなみに、山形では 山形県企業立地のご案内として、ウェブサイトで県内の企業の紹介もしています。「ヤマガタの強み」など企業誘致活動も積極的です。
また、政府は内閣府地方創生推進室として、全国に指定した国際戦略総合特区や地域活性化総合特区の紹介をしています。活動内容やビジネスモデルを見ると、進捗も気になるし応援もしたくなります。
≪まとめ≫
地方創生の実現には、中小企業のモノづくりの活性化が一つの要因です。そして、その要因を継続させたり連鎖を起こしたりするには、中小企業自らも知的財産活動に取り組む必要性が高まってきました。その結果を特許出願件数の統計でチェックし、増加傾向の地方のモデルケースを研究するのもありかもしれません。
2015年4月13日
著者 ゆうすけ
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