中小企業の工具メーカーから学ぶ事業活動にすぐに活かせる知財管理の考え方
中小企業にとって知的財産(知財)はコストなのか?投資なのか?弁理士になってからこのテーマをずっと考えています。一方、コストになるか投資になるかは、その会社の考え方や活動内容にもよります。
ぼくとしては、売上につながるためやリスクにならないための知財管理を意識して提案しています。だから、工具メーカー「エンジニア」の考え方は参考になると考えています。
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特許は営業ツール!だから他社の特許も要注意!
資格を持つ営業部の源隆洋課長補佐は「商品の特長を特許という視点で取引先に説明すれば、他社との差別化をアピールできる」。製造技術部の安藤雅則次長は「アイデアを製品化する前に、他社品が既に特許申請しているかなど実現性を調査している」と話す。
<引用:2015/3/18「社員の半数、知財のプロ 工具メーカー「エンジニア」」by 産経新聞>
特許の活用法についていろいろ話を聞いていると、どうやら営業戦略の一環にしている会社が多くなってきていると感じています。差別化や独自化のポイントを客観的に説明できるからでしょう。
買う側としては、どの会社の商品を採用しようか迷っているはずです。最近では”プチぜいたく品”が消費される傾向にあるため、コストのみならず、満足感や安心感をユーザーに提供する必要があります。
そういう意味で考えると、特許がとれたということは、多かれ少なかれ従来の商品にあった課題を解決しているわけです。だからその課題の解決っぷりとその効果は、営業トークにぴったりなわけです。
こういう時代背景にあるため、他社の特許には要注意なんです。販売後に他社から特許権侵害で通知がきたらシャレになりません。商品や広告の回収や在庫の処分などリスク大です。
だからせめてライバル企業に先に特許を取られていないかどうかくらいは確認すべきです。特許庁のデータベースで誰でも検索できます。ここで致命的な検索漏れがないように注意しましょう。
≪まとめ≫
知財管理が事業活動の発展に役立つことがもっと広まれば、モノづくりに勢いがつくんじゃないでしょうか。今までとはちがった企画創造や営業ができるはずです。
2015年3月20日
著者 ゆうすけ
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