スタートアップの見切り発車は危険?米国特許の維持年金の支払い状況を簡単に確認する方法とビジネス上の注意点
米国でビジネスしようと思っても、すでに特許をとられてることがあります。米国で特許訴訟に巻き込まれたら大変です。ビジネスどころじゃありません。
でもあきらめる前にすることがあります。そもそもその特許の維持年金が支払われているかどうか?つまり特許が事実上生きてるか死んでるかを調べるべきです。
そこで米国特許の維持年金の支払い状況を簡単に確認する方法を整理しました。まずは米国特許のPublicPairの画面を開いてください。暗号キー入力後に以下の画面が表示されます。
photo credit: government budget via photopin (license)
特許番号(Patent Number)を選択して番号を入力
まず「Patent Number」(赤線部)にチェックを入れ、ボックス内に七桁の番号(例:7777777)を入力します(赤線部)。Patent Number(特許番号)以外にも、Application Number(出願番号)なども入力できます。
ステータス画面のタスクバーから料金確認画面「Fees」をクリック
すると、出願日などを示すステータス画面が表示されますので、タスクバーの右側の方にある「Fees」(赤矢印部)をクリックします。
特許番号、出願番号の入力及び確認したい維持年金の支払年度の選択
維持年金の確認画面(Patent Maintenance Fees)が表示されたら、「Patent Number」(赤線部)と「Application Number」(赤線部)にそれぞれ番号を入力します。さらにプルダウンメニュー(赤矢印部)で確認したい支払年度(04 or 08 or 12)を選択します。最後に、「View Statement」(赤矢印部)を選択します。
支払状況の表示を確認
そしてもし維持年金が支払われていないと、「No fees paid for selected year.」と表示されます(上画面の赤線部)。一方、維持年金が支払われていると、支払われた年月日などが表示されます(下画面の赤枠部)。
ちなみに維持年金の支払い期限を確認するには?
支払われていないのはわかったけど、最終的な支払い期限はいつか?を調べるには、維持年金の確認画面(Patent Maintenance Fees)にある「view Payment Windows」をクリックしてください。表中(下画面)の最下段の「Close Date」に表示されているのが支払い期限です(赤線部)。
注意!支払い期限後でも特許が復活する可能性あり
でも維持年金の支払い期限が過ぎてしばらく経つから大丈夫でしょ!と言い切るのは危ないんです。理由によっては期限経過後でも維持年金を支払えば、特許が復活するルール(権利回復規定)があるんです。
しかも2013年12月18日以降、その理由がゆるくなり、かつ無期限に申請を認めるルールにかわりました(参考:日本弁理士会米国情報)。期間経過後から復活までに特許を侵害する行為に対する救済規定(中用権)はあるものの、それに頼りすぎるのは危険のようです。
≪まとめ≫
特許の維持年金の支払い状況を見れば、その特許に対する意気込みがある程度わかります。大事な特許なら、普通は期限内に支払うはずです。だから支払い状況の確認には意味があります。
でも米国の特許庁が維持年金の支払い状況の最新データをシステムに反映するまでにタイムラグがあるし、支払い期限が過ぎても特許が復活する可能性がゼロではないということは知っておくべきです。
米国ビジネスをスタートするタイミングと特許の維持年金の支払い状況とをよく考えてどうするかを決めることが大事です。そして最終的には専門家に相談することをオススメします。
2015年2月28日
著者 ゆうすけ
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