自社製品がない中小企業の製造業がやっておくといい知的資産経営の順番とは?
ハードウェアスタートアップの場合、モノの形状(デザイン)や構造がばれやすいので、特許や意匠登録で守る知的財産戦略から取り組むんだほうがいいことを紹介しました。
スタートアップでなくても、売るもの(商品)があって、それについて特許がとれそうなら知的財産戦略は考えるべきです。では、売るもの、つまり自社製品がない中小企業の製造業はどうでしょうか?
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ナレッジマネジメントでノウハウを共有する
自社製品がない製造業とは、大手メーカーやその関連会社からの注文を受けて製品を生産したり加工したり検査したりする業態があてはまります。いわゆる下請けですね。
このような会社の場合、やはり脱・下請を狙うなら、自社製品を開発して売り出すか、オリジナルの製法や加工法をウリにして一社に依存せず複数の会社から注文を受けられないと厳しいんじゃないでしょうか。
一方、自社製品がないとはいえ、長年培った製造や加工のノウハウはあるはずです。製造装置のチューニング、加工機のメンテナンス、検査治具の修理など、大手メーカーにはない知的資産が。
でも老舗の会社ほど、職人さんに依存している場合が多いです。もちろん職人技が必要な仕事もあるでしょう。だけどその回数はどれくらいでしょうか?年に1~2回依頼される超イレギュラーな仕事以外で職人技が必要な仕事って、そう多くはないんじゃないでしょうか。
だから職人さんじゃなくてもできる仕事のノウハウは、文章や図にして若い人たちにも共有できるようにしておいたほうが、稼働率もあがって利益向上につながるはずです。
またノウハウを共有する文化ができれば、従業員のコミュニケーションの数も増えるため、新たなアイデアが生まれやすくなり、さらにそのアイデアをブラッシュアップする文化が芽生えるかもしれません。
≪まとめ≫
自社製品又は自社オリジナルの製法や加工法を生み出すことをゴールにするなら、まずは従業員同士の知識と経験を共有し、会社に知的資産がどれくらいあるのか?どのように活用できるのか?を検討するところからはじめてはいかがでしょうか。ナレッジマネジメントとはいっても、大切なのはフェイストゥフェイスのコミュニケーションでしょう。
2015年1月19日
著者 ゆうすけ
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