うちの商品、この特許にひっかかってんじゃね?と思ったら確認すべき8つの項目
いよいよ売り出すぞ!と思いきや、この特許にうちの商品似てない?という疑惑が出ることがあります。今さら見つけても遅いわ~と思うかもしれませんが、これは要注意です。
そこで、うちの商品、この特許にひっかかってんじゃね?と思ったとき確認する項目を8つ、簡単にご紹介します。
photo credit: Daniel Kulinski via photopin cc
特許請求の範囲の確認
まずは基本。特許がどのようにとられているか確認しないと話になりません。だから、やばくね?と思ってもあわてることはないんです。
具体的には、特許公報の「特許請求の範囲」という項目に書かれている内容を確認しましょう。ここで、明らかに違う!といえれば、この後の作業は不要です。
特許発明の効果の確認
特許請求の範囲に違うことが書いてあると思っても、商品と特許が似た効果を発揮すると、ちょっと黄色信号です。そのため特許発明の効果の確認は重要。
具体的には、特許公報の「発明の効果」という項目に書かれている内容や、その他の部分に書かれている内容を確認しましょう。
商品の確認と構成要件への分割
特許にひっかかってるかどうかを判断するには、商品そのものを確認する必要があります。そのとき、商品の特徴を構成要件(いくつかの項目)に分解するんです。
構成要件に分解するのは、特許にひっかかっているかもしれないあやしい部分。なぜなら特許も構成要件の組み合わせでとられているからです。
特許発明の構成要件と商品の構成要件との対比
だいぶ近づいてきましたね。特許発明の構成要件も商品の構成要件もわかったところで、それぞれを対比します。たとえば、特許の構成要件Aに対して、商品の構成要件Aは同じか違うか?という感じに。
ここで一つでも違う構成要件があれば、特許にひっかかっていないことになります。逆に、すべて同じなら、特許にひっかかってる、つまり特許権侵害の疑いが高いとなります。
特許発明と商品との相違点についての均等性の検討
一つでも違う構成要件があればセーフ!と思ったらまだ早いです。その違う部分って、本当に特許に関係する部分でしょうか?つまり特許のポイントではない部分が違ってたらまずいんです。
特許制度上、違う構成要件があっても、似てるでしょ(均等)と判断できる商品については、特許にひっかかってしまうわけです。だから早とちりは危険です。
特許になるまでの経過情報の確認と分析
では、特許のポイントをどうやって割り出すかというと、特許が認められるまでにどのような経緯があるかを調べるんです。これを経過情報の確認といったりします。
日本の特許庁は経過情報を公開データベースで見られるようにしています。審査官とどんなやり取りがあったのか?どんな主張をしているのか?などが確認すべき点です。
特許発明の本質的部分の検討
経過情報を見ると、特許のポイント、つまり特許を認めてほしいとアピールしている主張内容が確認できると思います。そこが、特許の本質的部分と考えられるわけです。
特許の本質的部分がわかったら、特許と商品とで違う構成要件を見比べて、その構成要件が特許の本質的部分だったらセーフ、本質的部分じゃなかったらアウト、という判断になるでしょう。
特許権侵害(均等侵害)の結論
最終的に、商品が特許の本質的部分を含み、かつ同じ効果を発揮しているかどうかが、特許にひっかかっているか否かの判断の仕方になります。
ここでもし特許権侵害(均等侵害)の結論に至った場合は、商品の販売中止や設計変更など検討が必要です。そのままやってたら、特許権の侵害行為で、下手したら損害賠償請求にも発展しかねないからです。
≪まとめ≫
というように、うちの商品、特許にひっかかってんじゃね?と思ったら、いろいろ調べることが盛りだくさんです。そもそも自分たちで調べられるのかどうか?専門家に相談すべきかどうか?をちゃんと見極めて先に進まれることをおすすめします。
2014年12月10日
著者 ゆうすけ
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