日本法人が外国法人に技術支援するとき気をつけたいロイヤリティと租税
弁理士会の研修で、某大手監査法人のファイナンス専門会社の方を講師に招いた、企業における知的財産と会計について勉強してきました。
M&Aに必要な知的財産の価値評価、パテントトロールの類型、近年行われた知的財産絡みの事業買収など、興味深い話ばかりの中、ぼくが気になったのは、外国法人との知的財産をめぐる租税リスクです。
それは特許権や商標権の移転のみならず、技術支援の契約で交わされるロイヤリティについても気をつけないといけないようです。
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適切なロイヤリティでの技術支援
外国に現地法人を立ち上げ、日本から技術支援でノウハウや人を提供するという動きはすでにはじまっています。その際に気をつけたいのが、技術支援に対するロイヤリティです。
簡単に言うと、適切なロイヤリティ以下の料率で技術支援した場合、現地法人への支援目的とみなされ、料率を減らした分に対して課税されるということです。
たとえば、適切な技術支援のロイヤリティ料率が10%にもかかわらず、7%にした場合、のこりの3%分に対しても課税させられるリスクがあります。
ロイヤリティの料率を減らす例としては、現地法人のランニングコストの免除、つまり事業が軌道にのるまで安くしとくよってものです。これはけっこうありがちではないでしょうか。
ただ日本の国税局に言わせると、本来受けるべきロイヤリティ収入を受けておらず、その分の税金を支払っていないということになるからダメ!ということだそうです。
≪まとめ≫
知的財産の活用には、税金の理解が不可欠です。知的財産そのものの存在価値が見直されているため、目に見えないからといって軽視していると、後々トラブルに発展するリスクがあります。
2014年12月9日
著者 ゆうすけ
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