アイデアが散らかった会社の知的財産を見える化するフレームワーク
公開日:
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最終更新日:2014/11/24
特許戦略
会社がもっている知的財産を活用するってどういうことなのか?ずっと考えていますが、活用する前にやらなきゃいけないのって、会社に散らかっているアイデアを整理することだと思うんです。
散らかったまんまにも関わらず特許をとろう、活かそうというのは、順番が違うんじゃないでしょうか。お金をいくら持っているのかわからないのに家を買う人はいませんよね。
そこでアイデアが散らかった会社の知的財産構造を見える化するフレームワークを考えました。
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知的財産構造の見える化
このフレームワークは、アイデアがバラバラでどれがオリジナルなのか?企業秘密なのか?営業秘密なのか?特許なのか?がわからない会社の知的財産構造を見える化し、知的財産を活用する足掛かりとすることを目的としています。
たとえば、ある会社が10個のアイデアを持っており、その中にはその会社独自のオリジナルがあるとします。しかしどの部分が企業秘密か、営業秘密か、特許(オープン)にすべきかは整理されていません(Before)。
ここで会社の「オリジナル」とは他社との差別化部分であり、「企業秘密」とはあえて特許をとらず担当者間で共有したり顧客にのみ開示する部分であり、「営業秘密」とは厳重管理し一部の担当者のみが閲覧できる部分と定義します。
そこでこれら知的財産を見える化することで、まず会社のオリジナル(緑枠)とそうではない従来技術(点線枠)が明確になります。そして特許がとれるけどあえてとらない企業秘密(水色枠)と特許(黄色部分)とを区分けできます。こうすることでオープン&クローズ戦略がしやすくなります。
さらに企業秘密内でも、顧客にさえ開示しない社内の限られた担当者のみが閲覧できる経営戦略上欠かすことのできない営業秘密(赤枠)を整理できます。なお営業秘密にするには、不正競争防止法で定義されている3要件(秘匿性、有用性、非公知性)を満たさなければなりません。(After)
≪まとめ≫
このように知的財産を見える化することで、目に見えないものを構造的にとらえることができます。そして構造的にとらえた後、実際の事業上のアイデアのうち、どれがオリジナルか、企業秘密か、営業秘密か、特許かが明確になるでしょう。
2014年11月23日
著者 ゆうすけ
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