特許庁のお墨付きでアピール!資金調達しやすくする外国特許出願のテクニック
外国をマーケットとするスタートアップや中小企業にとって、商品を製造する国や販売する国で自社の技術を特許で守ることは大切です。特許があってはじめて模倣業者と戦えるからです。
その場合、外国に特許出願することになりますが、その方法は2つあります。一つは、直接その国に出願する方法、もう一つは、PCT国際出願する方法です。
特許をとりたい国の数が多ければ、PCT国際出願のほうが手続が楽です。またPCT国際出願には、資金調達しやすくするテクニックもあるんです。
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資金調達に国際調査報告書を有効活用
PCTの手続が便利なのは、簡易な先行技術調査をしてくれて、その結果をまとめた国際調査報告書を発行してくれることです。・・・中小・ベンチャー企業などでは、ベンチャーキャピタルや銀行から投融資を受ける際には、国際調査報告を提示し、「当社の基本技術をカバーしたこの特許出願は、特許として成立する可能性が高いのです。」というプレゼンの根拠として使うことができます。
<引用:鮫島正洋編集代表「技術法務のススメ」p134>
外国に特許をとるには、すごくコストがかかります。ザックリいうと、1か国あたり数百万円。そのための資金を外部で調達できるととても助かります。
融資する方は、外国での事業に見込みがあれば資金提供してくれるはずです。しかし外国での事業の見込みを見極めるのは簡単なことではありません。
そこでPCT国際出願の国際調査報告書が、外国での事業の見込み材料の一つになりえます。というのも、国際調査報告書では、出願した発明が新しいかどうか?先行技術より進歩しているかどうか?について、審査官の評価が書かれているからです。
PCT国際出願はどの国からでもできますが、日本のスタートアップや中小企業の場合は日本の特許庁に提出することが多いでしょう。日本は先進国の一つなので、日本の審査官の評価は他国の審査への影響力がそれなりにあります。だから他国でも国際調査報告書の結果は参考にされます。
≪まとめ≫
特許を事業に結びつけることを具体的に考えるべきです。資金調達は事業化に大切なもの。商品を売るだけではなく、資金を調達するために特許出願を利用するという発想もあります。
2014年9月28日
著者 ゆうすけ
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