弁理士に丸投げは危険!クズ特許にしないための特許明細書のチェックポイント
10年くらい前までは、特許は質より量だ!という時代でした。大企業が特許を次々と出し、自分たちの領域を広げっていったのです。
しかし、そうやってとった特許の中には、もはや使えないクズ特許が多い場合もあります。そして、クズ特許になってしまった原因の一つが、特許の範囲が狭いというものです。
そうならないためには、弁理士に丸投げせず、特許を出す前にちゃんと内容をチェックすべきです。
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ダイヤモンド特許にするには出願前にチェック!
・・・中小企業では、特許事務所から上がってきた特許明細書ドラフトについて、ほとんどチェックをせずに出願をしてしまっている状況のようです。しかし、このチェックをどの程度きちんと行うかによって、ダイヤモンドの原石が売れる宝石になったり、単なるクズと化したりするのです。したがって、このチェック工程は、「特許」を製品にたとえると、それが「売れる製品」になるか、「売れない在庫」になってしまうかを左右する重要な工程であるとも言えます。
<引用:鮫島正洋編集代表「技術法務のススメ」p113>
特許をとるために特許庁に提出する書類(業界では、「特許明細書」といいます。)を見たことがある方はわかると思いますが、かなり独特です。ぼくもはじめてみたときは、まったく意味がわかりませんでした。
最も意味がわからないのは、「特許請求の範囲」という項目。でも、ここが特許になる部分なんです。つまり、うちの発明を文章で書くとこんな特徴があるから特許にしてください!というところ。だから、とにかく「特許請求の範囲」のチェックが最も重要です。
チェックするポイントを簡単にいうと、余計な言葉や表現で特許請求の範囲が狭くなっていないか?という点。
たとえば、ぼくが画期的な「コーヒーカップ」を発明して、特許をとるとします。このとき、特許請求の範囲には、そのコーヒーカップの構造を文章に書きます。たとえばこんな感じ。
コーヒーが入る本体と、
本体の側壁に設けれらた取っ手と、
を備えたコーヒーカップ。
こう書いておくと、本体と取っ手があるコーヒーカップならどんなデザインでも特許請求の範囲に含まれることになります。コツは、「本体」とか「側壁」とか、意味を広く解釈できる言葉を使うことです。
悪い例としては、「円筒状の本体」とか、「耳型状の取っ手」とか、意味を狭く解釈されてしまう言葉で限定してしまうことです。
ただし、意味を広く解釈でき過ぎるあまり、特許請求の範囲が不明確にならないように注意する必要もあります。
≪まとめ≫
とにかくまずは余計な言葉や表現で特許請求の範囲が狭くなっていないか?のチェックをお奨めします。具体的には、余計な言葉が書かれていないか?です。
2014年9月27日
著者 ゆうすけ
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