特許一次審査通知11か月以内達成!知財戦略のキーワードその1「スピード向上」
グロービス経営大学院の堀義人学長のブログ記事(2011年9月20日)が、yahooニュースで再掲されていたいました。その記事のタイトルは、「知財戦略の推進を 経産6」。
日本の優れた技術やコンテンツで世界と張り合うには、「スピード向上」、「国際化への対応」、「インターネット時代への対応」が不可欠であり、今後ますます知財(頭脳)が勝負になると堀学長は説いていました。
そこで、「スピード向上」の具体策の一つ「特許審査待ち期間の迅速化」が結局どうなったかを調べました。
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2013年度末に特許一次審査通知11か月以内達成
2011年当時からすでに、2013年度末までに「特許審査待ち期間」を11か月に短縮するという目標が、特許庁(及び経済産業省)で設定されていました。これについては堀学長も指摘していました。
2010年度の特許審査の順番待ち期間は、約28.7カ月であり、長期化(悪化)傾向に歯止めがかかっていない(2005年度:25.7カ月⇒2006年度:26.7カ月⇒2007年度:28.3カ月)。このことは、日本の国際競争力を棄損させる深刻な状況といえる。政府は2006年の「経済成長戦略大綱」に、2013年までに11カ月までに短縮して、世界最高水準を達成すると目標を掲げていたが、まさに風前の灯の状況である。
<引用:2014/9/16 100の行動「100の行動 その12】知財戦略の推進を 経産6」>
特許をとるには、出願審査請求が必要です。しかし出願審査請求をした後、審査官が審査結果を通知するまでの期間(一次審査通知期間)が長かったので、これじゃスピード時代に乗り遅れるでしょ!というのが課題でした。
そこで2013年(平成25年)度末までに一次審査通知期間(FA:First Action)を 11 か月以内とする、という目標を実行したところ、達成していました。
<引用:経産省「特許審査のこれまでの10 年目標(FA11)を達成しました」>
しかも特許出願してから早期審査の申請をすれば、さらに早く特許の審査をはじめてくれるので、その分審査結果が早く出ます。2012年実績だと、早期審査の申請から平均約1.9か月。これは「スピード向上」を実現する具体的な制度です。
なお早期審査の条件の一つに、製品を実際に製造販売していること、または早期審査の申請から2年以内に生産開始を予定していること、があります。
<参考:特許出願の早期審査・早期審理について >
≪まとめ≫
特許権を積極的に活かすために特許を早くとる戦略もあれば、出願状態を維持して特許になるかならないかわからない状態にしておくという戦略もあります。それはケースバイケースなのでどちらがいいとは言えません。ただ早くするのも遅くするもの自分でコントロールできれば、事業計画にも盛り込みやすくなるはずです。
2014年9月16日
著者 ゆうすけ
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