花火の特許はとるべきか?アメリカ特許のパイオニアは花火職人だった
花火と特許について、歴史的背景と現在の特許取得状況について整理しました。
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アメリカ特許のパイオニアは花火職人
・・・明治10年、横浜・高島町で花火製作の会社を経営していた平山甚太という人物で、明治16(1883)年、アメリカの特許庁に「昼花火」という、打ち上げると中から人形などが飛び出す仕掛花火の特許を出願し、認可されている。まだ日本に特許制度もなかった(特許制度の開始は明治18年)時代に、いち早くアメリカでの特許をとり、世界進出を視野においていた平山の先進性には驚かされる。
<引用:2014/9/8 一学楽校NAVI「日本人が取ったアメリカでの特許第一号は『仕掛花火』である。」>
日本ではじめて登場した特許制度が、1871年(明治4年)に公布された「専売略規則」 。その後、現在の特許制度の基となっているのが、1885年(明治18年)に公布された「専売特許条例」です。
専売略規則」 ができてから14年後の「専売特許条例」ができるまでの間に、日本人にも発明魂が生まれたのかもしれません。
それにしてもアメリカで特許をとろうとした実行力がなによりもすごいです。手間もお金も今よりずっとかかったでしょうが、日本の伝統工芸を海外のマーケットに広げるために特許をとろうと考えて実行したならばすごい先見の明です。
このようなファイティングスピリットは日本人として学ぶべきところではないでしょうか。
花火の特許は意外に少なく日本では40件以下
花火といえ誰もが知る風物詩です。打ち上げ花火にもいろいろあって、毎年違う仕掛け花火が見られて楽しいです。きっと花火職人の方々は創意工夫しているんでしょう。
そう考えると、アメリカでの日本特許第一号が花火だったので、国内では花火の特許がたくさんとらているはず!と思い調べてみたところ、意外に少なく40件以下でした(2014/9/9調べ、公報テキスト検索にて「発明の名称」を「花火」と入力して検索)。
花火の仕掛けで特許をとるなら、その仕掛けを実現するための内部構造をオープンにしなければなりません。狙ったとおりの仕掛けに見せるには、どんな風に火薬をつめればいいのか?というものです。
しかしその内部構造(ノウハウ)をオープンしてまで特許をとるメリットがあるかというと、大してないでしょう。内部構造をオープンにしなければ誰もわからず同じ仕掛け花火をつくれないからです。
≪まとめ≫
手持ち花火の火薬構造とかなら特許もありです。分解されてその構造がばれるからです。打ち上げ花火のように分解されることなく一瞬で空に散るものなら、特許をとらずにその構造を企業秘密にしておくほうが大事です。
2014年9月9日
著者 ゆうすけ
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