今のところ最新版!2012年の特許件数の実績データで知っておきたいポイント
毎年特許庁から、特許出願や特許になった件数が発表されます。今のところの最新版は2013年度版で、それには2012年の実績データが掲載されています。つまり前年度分が確定ベースの最新データということになります。
そこで2012年の特許件数の実績データで知っておきたいポイントをまとめました。
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特許出願の件数は下げ止まり
©特許庁
2008年のリーマンショック以降、特許出願の件数、つまり特許を取るために申請された数は急落しました。2009年は344,598件で、前年の391,002件から一気に4万6千件も減ったんです。
それ以降も下落は続き、2011年には342,610件に落ち込みましたが、2012年に342,796件となり、下げ止まりました。
海外への特許取得の意識が増加傾向
©特許庁
一方、外国で特許を取るために申請された数は増えました。件数としては42,787件(前年度より4,813件増加)ですが、海外でビジネスをしようと考えた会社が増えたとみえます。
特許になる確率が増加傾向
©特許庁
申請したらどれくらいの確率で特許になるの?とよく聞かれます。特許は自社のアイデアを守る保険的な要素もあれば、特許製品の独占販売や他社とのライセンス契約を結ぶ投資的な要素もあるため、見込みは誰しも気になるところです。
特許になる確率は、2012年度で66.8%(254,502件)が特許になりました(正確には、特許になると認められた件数で、特許料を支払って登録された件数ではありません)。これは5年前(2008年度)の50.2%に比べると16.6%の増加です。
ちなみに特許にするには、特許庁の審査官に審査を依頼するのが条件です(出願審査請求)。そのため特許になる確率とは、出願審査請求をした案件が対象です。出願審査請求をしなかった案件を含めたらもっと低い確率になるでしょう。
≪まとめ≫
特許の出願件数や特許になる確率は日本企業の経済状況や日本の国策を知る一つの目安になります。出願件数の減少が落ち着いたのは、全体的に日本企業がリーマンショックの影響を一時的に持ち応えたと考えられます。また特許になる確率が上がったのは、日本国内の特許件数を増やそうという狙いが伺えます。
2014年3月24日
著者 ゆうすけ
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