技術をシェアしよう!開放特許を活用する3つのメリット
特許は申請した日から20年で効力が切れます。え、途中で切れるの?と驚かれますが、20年間特許を有効に活用するのってけっこう大変です。商品のライフサイクルは6~7年だからです(薬とかIPS細胞の特許なら20年でも短いくらいですが。)。
できればロングセラーを狙って開発した商品について特許をとったとしても、そううまくいかないものです。投資してつくって、しかも特許までとっちゃったから、簡単に手放せないのでしょう。そんな特許が日本にはゴロゴロしているわけです。
それってもったいないから活かせないかな?と考えたのが、開放特許のコンセプトです。自分たちはつかってないから、よかったらつかってください(お金はちゃんともらいますけどね)!というものです。つかっていない特許を、休眠特許なんていったりもします。
そこで開放特許を活用するメリットを3つまとめました。
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メリット1.安全に技術を使える
最大のメリットは、特許で守られた技術を安全に使える点です。自分たちで商品開発した場合、特許をとらなければ真似されるリスクがあります。でも、そもそも特許がとれるかどうかわからないし、特許をとるにはお金がかかるので、おろそかになりがちです。
その点、開放特許は特許庁の審査を通過したものです。いわゆる“お墨付き”があるのです。また特許が取れたということは、少なくとも差別化できるポイントがあるはずです。すでに世の中に存在する技術より進歩している点があるから、特許が認められたわけです。
特許の効力はいずれ切れますが、数年間でも安全に使える技術を確保できるのは大きなメリットです。また他人の特許を利用して、自分でオリジナルの特許を取ることもできます。それができればさらに強力です。
メリット2.開発資金がかからない
特許はアイデア段階でもとれます。しかし企業は研究開発して活かせそうなアイデアを特許申請しています。つまり特許をとったアイデアは、ふるいにかけて生き残ったアイデアということです。
もし自分たちでアイデア出ししてサンプルつくってマーケティングを検証して特許申請したら、少なくとも数百万円はかかるのではないでしょうか。当然、売れるか売れないかは商品化してみないとわからないし、販促運動しないと市場に認知されないでしょう。
そう考えると、はじめの数百万円のコストを、商品の資材購入や広告宣伝費にあてられます。そのメリットは、特に開発力が低い会社にとっては大きいはずです。
メリット3.企業のネームバリューをゲットできる
開放特許をオススメしている企業って、実は大手が多いんです。うちの技術を使ってくれ!と企業側もがんばっています。もちろん企業には特許のライセンス契約料やイメージアップなどメリットはありますが、特許をつかう方としても大手企業とタイアップしたことがアピールになります。
日産自動車(横浜市)、富士通(東京)、神戸製鋼所(神戸市)、医療機器メーカーのアークレイ(京都市)の4社が機械金属、電子電気、IT、食品といった分野で持つ開放特許を紹介する。家庭用ソファに応用できる高級車シート向けの人工皮革▽菌・ウイルスを分解する性質を持った物質▽携帯電話の相手の声の音質を保ったままゆっくり再生させ高齢者でも聞き取りやすくする技術―など45種類が予定されている。(引用:「開放特許」活用呼び掛け 27日、岡山で技術マッチング)
企業の中には、商品販売のタイミングから数年前にさかのぼって特許申請しているところもあります。たとえば5年後に商品化するアイデアなら、今年特許申請していることになります。それくらい先行きを見越したアイデアが眠っているかもしれません。
≪まとめ≫
まずはどんな特許があるのかを見てみることをオススメします。ひょっとしたら掘り出し物が見つかるかもしれません。全てを自分たちでやる時代はとっくに終わりました。費用対効果がある程度ありそうなら、お金を払ってでも外部の力を採用すべきです。
2014年1月16日
著者 ゆうすけ
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