泣く泣く和解!?アディダスvsアディボンの商標問題がなぜ長引いたか?
「アディダス」の模倣と思われる「アディボン」に対し、アディダスは6回も敗訴しながら和解に至ったとのニュースが報じられました。
和解の内容は公開しないようですが、なぜ和解に至ったのか?和解せざるを得なかったのか?その点を検討しつつ、アディダスvsアディボンの商標問題が長引いた理由を検討しました。
報じられた記事の一部です。
アディダスがアディボンを商標権侵害で訴えていた裁判は、和解が成立した。ただし、具体的な内容についてアディダスは「申し合わせによって和解の内容は公開しない」とし、同時にアディボンを買収する意志がないことを強調した。7月17日。網易財経が伝えた。
⇒ アディダス、6回の敗訴を経て…商標権侵害で訴えていた“アディボン”と和解へ 内容は非公開―中国
2013年5月3日、中国網は記事「アディダスがアディボンを訴えた商標侵害裁判、提訴から5年で和解」を掲載した。
アディダスが6回も敗訴したのは、「アディダス」と「アディボン」とは似ていないと裁判で判断され続けたからだと思います。
ではどのような点で似ている似ていないが争われたかのか?3つに分けて想像してみました。
1.白黒かつ三角形のロゴの下にアルファベットがある構成
まずは全体をみると、どちらも白黒かつ三角形のロゴの下にアルファベットがある構成です。この点は明らかに同じです。
しかし半分以上を占める三角形の向きが異なるため、全体的に似ていないと判断されても仕方ないとかもしれません。
2.ロゴに切れ目がはいったデザイン
アディダスは底辺が下を向いた三角形で、左斜め上に切れ目が入ったロゴです。
一方、アディボンは底辺が上を向いた逆三角形で、左斜めと横に小さく切れ目が入ったロゴです。
切れ目がある点は同じです。しかし三角形の向きのみならず、切れ目の位置も異なるため、似ていない印象も受けます。
3.「adi」が同じ、全部で6文字、「a」と「o」が似ている
前の3文字が同じ点について、アディポンの悪意が感じられます。一方、後ろ3文字は「a」と「o」が似ていることを除いては、ほとんど似ていません。
しかし文字の場合、人は前方部分に着目するため、マーケティングとして重要な部分を真似していると考えられます。
したがってアルファベットの部分については、似ていると主張する価値はありそうです。
≪まとめ≫
アディダスとアディボンが似ている似ていないの判断は難しかったため、裁判が長引き、結局和解にいたったんだと想います。
商標は全体的に似ているか?部分的に似ているか?のバランスで、似ている似ていないを判断します。ネーミング(文字)とロゴ(図形)の組み合わせは、マーケティング的にも商標登録的にも、差別化に使えるテクニックです。
2013年7月19日
著書 ゆうすけ
関連記事
-
ハッシュタグの商標戦略の考察
先日、「ハッシュタグも知的財産--商標登録する海外企業」という興味深い記事が公開されていまし
-
「必殺技」の商標戦略の考察
バンダイが「必殺技」を商標出願したというニュース(2016/3/15)が報じられました。ゲーム業
-
ジェネリック家電のコピーを防ぐ特許戦略
photo credit: blood test via photopin (license)[/
-
ゆるキャラブームと商標登録の傾向と対策
「ゆるキャラ®」の生みの親であるみうらじゅんさんの著書「「ない仕事」の作り方」を読みました。
-
アップルに学ぶ商品価値を伝える空間の考え方
どんなにいい商品だとしても、その価値が伝わらなければ売れません。商品の価値があるかないかは最