プロダクトデザインを意匠登録する流れと期間は?出願手続はリリース前が基本
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意匠
3Dプリンターにより、プロダクトの設計開発が誰でも短時間でできるようになりました。さらに、機能性に加え、デザイン性も求められてきました。
そこで、デザインプロダクト開発に励むスタートアップがデザイン(意匠)を登録するとき、どのよう流れで行われ、どの程度の期間が必要かをご紹介します。
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プロダクトデザインの意匠登録の流れと期間
①弁理士によるヒアリング
プロダクトデザインのCAD図面やデッサン又はサンプルがあれば、それについて弁理士がヒアリングを行います。主なヒアリング内容は、デザインの特徴、デザインバリエーションの有り無し、リリース時期です。
特に、リリース時期が近い場合、⑤までの期限が短いため、②~④の作業を急ピッチに行わなければなりません。このため、ヒアリングはとても重要です。
②登録内容の決定
①の内容をベースに、弁理士は意匠登録の内容を提案し、問題なければ決定です。主な提案内容は、デザイン全体を登録する手法(全体意匠出願)又は一部のみを登録する手法(部分意匠出願)、図面(又は写真)の構成です。
また、図面又は写真の決定も重要です。図面は写真よりデザインのディテールを描写できるメリットがあります。一方、写真は図面より作成時間が短いメリットがあります。
③図面(又は写真)の作成
②の内容にそって、プロダクトデザインの図面(又は写真)を作成します。作成するのは、プロダクトデザインの6面図(正面、背面、平面、底面、右側面、左側面)、斜視図、特徴部分の端面図、使用状態の参考図などです。
図面(又は写真)上にデザインが的確に描写されていないと、意匠登録し損なったり、模倣品に対して意匠登録の効力が及ばなかったりすることがあるので、よく確認すべきです。
④出願書類の作成
③で作成した図面(又は写真)と願書とを合わせて出願書類となります。最終的には、出願書類を特許庁に提出するため、⑤の前に必ず内容のチェックが必要です。
願書で主にチェックすべきは、プロダクトデザインの創作者と出願人の氏名・住所です。それ以外は弁理士に任せればほとんど問題ないはずです。
⑤出願手続
①~④を経て、特許庁に出願書類を提出します。弁理士の場合、インターネットで出願手続が可能です。一般的に、出願手続自体が完了するのは、④の承認後、即日~3営業日くらいだと思います。
⑥登録及び登録料の納付
⑤の後、特許庁の審査官が審査を行い、結果が出るのがだいたい半年(0.5年)後です。この間に、一般的には商品リリースが行われます。出願手続後なら、登録前でもオープンにして基本的に問題ありません。
しかし、登録不可の結果(拒絶理由通知)がくる場合もあります。これがきたら、審査官の判断に対する意見が必要なため、その分⑥のタイミングが遅れます。
≪まとめ≫
大事なことは、意匠出願が完了するまで(①~⑤)、1か月くらいかかるということです。もちろん、この期間を短くすることは不可能ではありません。ただ、リリース直前に意匠出願を慌ててするのはリスキーです。リリースのタイミングを見計らって意匠出願するのをオススメします。
2015年8月2日
著者 ゆうすけ
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