特許庁も提案!特許にする?それとも企業秘密にする?迷ったときの3つの考え方
特許庁から「特許庁ステータスレポート 2015」が公開されました(2015年3月30日付け)。
その中で、「戦略的な知的財産管理・活用の促進」という章があるんですが、その章では、日本の知的財産事情の課題が9つにわけて書かれています。
さらに、あなたの会社の知財活動はいかがですか?という問題定義も含まれていると感じられます。事業にあった方針か?制度を活用できてるか?海外対応は?などなど。
特許?企業秘密?迷ったときの3つの考え方
最近話題の営業秘密についてもしっかり取り上げられています。ノウハウ、特に、他社には絶対にパクられてはいけない技術をどうやって守るか(管理するか)?という点について。
ぼくもよく質問されますが、特許をとったほうがいいかどうか聞かれたとき、以下のように答えています。 これは、「営業秘密・知財戦略ポータルサイトについて」でも、事例紹介として掲載されています。
具体的には、次の点を総合的に考慮して、秘匿ノウハウとするようにしている。
・ 特許権を侵害されても発見が困難な技術
・ 製品から技術内容を認識することが不可能な技術
・ 公開しなければ競合他社が到達困難であり市場優位性を確保できると考えられる技術<引用:■営業秘密・知財戦略について 7.秘匿化の実例 1.機械系の企業の実例>
1つ目は、パクられたかどうかわからなければ、むしろ特許とらない方がいいよ、ということです。パクられ損にならないよう、ちゃんと検討しましょう。
2つ目は、ライバル会社に製品のカラクリがバレなければ特許をとるまでもないよ、ということです。これもパクられ損のリスクがあるんで要検討です。
3つ目は2つ目と似ていますが、特許を取るということは製品のカラクリがオープンにされるリスクもあるので、それでライバル会社が増えたら本末転倒のため特許はやめたほうがいいよ、ということです。
逆を言えば、カラクリがバレやすい製品については特許をとった方がいい、ということになります。ある種、”肉を切らせて骨を断つ”作戦かもしれないので、それはまさに”技術を特許で守る”ことに他なりません。
≪まとめ≫
いろんなケースがあるので全てが上の3つで判断できるわけではありませんが、なんでもかんでも特許にすべきじゃないし、企業秘密にするほど大げさなものじゃない場合もあります。そのため日常的にこのような検討の習慣をもつことが、知財管理の第一歩になるでしょう。
2015年4月19日
著者 ゆうすけ
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