同族経営で注意したい商標・特許のトラブルとは?今日の家族は明日の敵かも。。。
前・会長と現・社長とが親子関係にある某大手家具メーカーで勃発した経営権争いも一区切りついたようですね。会長の創業者としての想いと、社長の会社トップとしての断固たる決意とが衝突してしまったのかな~と感じています。
一方で、従業員や株主にとっては大切な会社なので、同族経営だろうがなかろうがトップにはしっかりしてもらわないとこまるはずです。ましてや内輪もめで業績悪化とかシャレにならないでしょう。
だけど、トップの仲たがいによる決裂は、同族経営が9割以上の日本にとってめずらしい話ではないはずです。そういう観点で考えると、同族会社にとっても知的財産の管理は会社経営を左右する重要なファクターです。
そこで、今日は家族でも明日は敵になってしまうリスクがある同族経営て注意したい商標・特許のトラブルを整理しました。
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社名・商品名・ロゴの奪い合い
会社経営にとって社名や商品名やロゴ(商標)は大切な財産です。お客さんは商標を見て会社や商品を見分けているからです。そのため長く使っている社名やヒットした商品の名称やそれらのロゴは誰だろうと真似されたくないはずです。
しかし、仲たがいして会社トップ(例えば、創業者と2代目)が分裂したら、商標のトラブルが起りかねません。社名は創業者が考えたけどロゴは二代目が考えたとか、商品名は創業者派の専務が考えたとか、こういう場合は商標の所有でもめるリスクがあります。
仲がいいときにはこんなことでもめるなんてまったく想像できないでしょうが、実は同族経営のあるあるだったりします。そういう意味でも商標登録はトラブル時のリスクヘッジになります。法人名義で登録すれば、会社の知的財産にできるからです。
こうしておけば、会社を出ていく方に商標を先取り登録され使えなくなってしまうのも未然に防げるため、経営の脅威にはなりません。
ノウハウや技術者の奪い合い
また、会社経営はノウハウの塊とも言えるんじゃないでしょうか。商品開発・生産管理・物流・人事教育など、経営方針や事業戦略に合わせて試行錯誤したアイデアが必ずあるはずです。
特に製造業の場合、商品の技術的なノウハウやこの商品開発の技術者は、会社経営を揺るがしかねない存在です。そのため、同族経営のトップが分裂したら、会社を出ていく方にノウハウを持っていかれたり、技術者を引き抜かれたりするリスクもあります。
だから会社としては、ノウハウや技術者の流出トラブル対策として、営業秘密の管理や秘密保持契約のやり取りや特許取得について考えておかないと、いざというときに自らの権利を主張できなくなるので注意が必要です。
≪まとめ≫
同族経営だとしても、知的財産の取り扱いをちゃんとしておいたほうが無難です。というか、同族経営上、トップのいざこざはリスクの一つと想定しておくべきかもしれません。信頼関係があれば、いざこざが起ったときの対策もゆとりをもって検討できるのではないでしょうか。
2015年3月29日
著者 ゆうすけ
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