あなたの会社は大丈夫?知財管理をしていない会社の典型的な5つの失敗例
知的財産(以下、知財)とは、無形資産のうち、会社内の業務ノウハウや社員の頭の中にあるアイデアから特許や商標登録の元となる情報のことです。
きっと知財がない会社はありえません。そして知財は会社に利益をもたらす源泉です。にかかわらず、知財の管理が手薄なのはなぜか?
それは知財が目に見えないものだからよくわからないばかりでなく、知財管理をしないリスクが伝わっていないからだと思うんです。
そこで知財管理をしていない会社の典型的な5つの失敗例をまとめました。
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知財をパクられても泣き寝入り
そもそも知財がパクられる理由は、他人がアイデアに価値を感じているのに、本人はその価値に気づいていないからです。
たとえば、自社開発した画期的な装置を他社にあっさり見せてしまうとか、集客力あるネーミングをネット上にばらまいてしまうとか。
このように知財管理をしていないと、いつ誰にどうやってパクられたかわらないため、泣き寝入りせざるをえません。
権利化の手遅れ
パクられて泣き寝入りしない対策の一つが、特許や商標を登録して権利化することです(特許権や商標権の取得)。
特許の場合は、特に申請するタイミングが大切です。同じアイデアを他人に申請されてしまったら、たとえ偶然だとしても特許はとれません。
また商品を販売してから1年後に売れ行きが順調だから特許をとろうとしても、その商品は新しいとみなされず、特許はとれません。
知財管理には、特許をいつ申請すべきか?そのためにはいつから販売すべきか?ライバル会社は同じ特許を出していないか?など、権利化に必要なプロセスが含まれています。
極秘情報の垂れ流し
知財の価値も認識し、特許や商標の登録申請も実行中。でもなぜか、会社の極秘情報が他社から流れてきた、なんてことはないでしょうか。
たとえば、退職者による極秘情報の持ち逃げトラブルは、社会問題にもなっています。この場合も、やはり持ち逃げされない対策を全くしていなければ、泣き寝入りすることになります。
情報の機密レベルや管理レベルを区分けしておかないと、トラブル時に対応できません。技術ノウハウ以外にも、知財として管理すべき情報があるわけです。
相手からの契約内容を丸呑み
ビジネスは持ちつ持たれつ。自分が売るばかりでなく、相手から買うこともあります。発注時や受注時の契約内容は重要です。
ところが、例えば営業担当が知財を知らないと、不利な内容(トラブル時のリスク対応の責任など)で受注してしまうことがあります。
知財管理には、知的財産に関するリスクヘッジも含まれます。特に、知財を避けてはとおれない営業担当や技術担当、さらに経営幹部への教育が必要です。
知らぬ間に他人の権利を侵害
相手の特許の範囲が広いければ広いほど、その特許権を侵害するリスクが高まります。
知らぬ間に他人の権利を侵害してしまう理由でありがちなのが、同じアイデアで権利を先に取られているにもかかわらず、その商品を販売してしまうパターン。
特許や商標登録の情報は特許庁のデータベースで一般公開されています。そしてキーワード検索もできるため、誰がいつどんな特許や商標登録を取得したか確認できます。
少なくともライバル会社の特許や商標登録の情報はウォッチしておくと安心です。知財管理にはこのような調査も含まれます。
≪まとめ≫
冒頭で説明したとおり、知財がない会社はないため、基本的にどの会社も知財管理が必要です。でも知財の量や生まれるタイミングは会社によって違います。そのため知財管理にどれくらい力をいれるべきかは検討が必要です。
2015年3月16日
著者 ゆうすけ
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