リサーチ・アドミニストレーターは大学の切り札になれるか?産学連携で注目したい新たな人材
大学でも知的財産活動の見直しが進んでいます。企業と研究室が共同研究を進める場合、大学の知財事務局の管理の元で行われるケースが増えています。
大学側としては、特許のライセンス収入を増やすことで、研究開発力をアピールできます。そのアピールで学生を集めて、さらに設備投資する狙いもうかがえます。
そこでさらに力をいれるために、知財のみならず資金管理やコンプライアンスなども扱える人材として、「リサーチ・アドミニストレーター」導入の検討が進んでいます。
photo credit: Kazansky universitet via photopin (license)
米国ではメジャーなリサーチ・アドミニストレーター
文科省は2012年度でCDを派遣する産学官連携関連の支援事業に区切りをつけ、その後はリサーチ・アドミニストレーター(URA)の育成、配備へと舵(かじ)を切った。
・・・
今後日本でCDの採用が減り、URAがカバーしきれなければ、大学・機関は、保有技術・特許の企業での活用が後退し、企業からの共同・受託研究へのシフトが予想される-。<引用:2015/2/21 「【生かせ!知財ビジネス】変換点にきた産学官連携」by Sankei Biz>
今までは産学連携の仲介や知財の管理をしていればよかったけど、これからは大学側から共同研究の提案や研究開発のコンサルティングを行う時代になりそうです。
そのため大学としても、単なるコーディネーターだけでは足りず、トータルで研究開発のマネジメントができる人材が必要になってくると見込んでいます。
でもそんな人材いるんかい?どんなスキルやキャリアが必要なんだい?ということで、米国でメジャーなリサーチ・アドミニストレーターの教育法や導入事例を研究しているところもあります。
現在、アメリカには約15万人のリサーチアドミニストレーターいると言われており、研究プロジェクトの企画、競争的資金の情報提供、申請書作成支援、学内外の研究グループの連携構築、資金管理、研究遂行に関して必要な人事マネージメント、知的財産管理・技術移転、報告書作成、利益相反・責務相反マネージメント、輸出管理、研究倫理、コンプライアンス(法令や社会的規範を守ること)など、多岐にわたる業務を行っている。
<引用:アメリカのRA-RA研究会>
本家はNCURAというところで、いろいろプログラムの提供やカンファレンスの開催を行っています。日本のコーディネーター制度からサーチ・アドミニストレーター導入のヒントがありそうです。
≪まとめ≫
大学も待ち受け体制から積極的に外部へ発信する体制に変わってきたのかもしれませんね。うちはこんな技術があるけど一緒にやらない?って大学からのアプローチも必要ではないでしょうか。
2015年2月24日
著者 ゆうすけ
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