生産管理は特許になる!ものづくりの製造工程はメーカーの超重要な知的財産
10年以上前に話題になってから、ずっと製造工程のカイゼン業務のバイブルである「ザ・ゴール」。そのコミック版が発売されていたので、思わず買ってしまいました。
ぼくは弁理士になる前、メーカーで生産管理システムの仕事をしていました。自動車のT社とか、テレビのS社とか。その一環で、業務カイゼンもやってたんです。
そんな当時のことを思い出しながら読んでいました。スループットの向上とボトルネックの効率化、複雑な生産現場の課題のカイゼンの末にできた仕組みは、メーカーの知的財産そのものです。
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生産管理は特許になる
そんな血と汗と涙の結晶である生産管理の仕組みって、当然ライバル会社も知りたいはずです。あの会社どうやって高い歩留りを維持してるんだろう?とか。
ぼくが生産管理の仕事をしていたとき面白かったのは、子会社のホストコンピューターを親会社のホストコンピューターに切り替えるってプロジェクトです。
人間でいうと脳みそを他人のに替えるような感じ。それには毛細血管の一つ一つをつなぎ合わせるために、移植の前と後の指示系統が一致してるか調整しないといけません。
それと同じで、ホストコンピューターの切り替えに向けて、システムの機能、人が行う業務、指示系統、データ体系などすてべ分析・比較して、ギャップを無くしつなぎ合わせる作業を行いました。
というように、生産管理システム一つとってもすごく知恵が凝縮されているわけです。「ザ・ゴール」的に言えば、生産拠点が会社に利益をもたらす肝の部分になります。
だからそのカラクリを公開してまで特許をとる必要性は十分検討しないといけませんが、ライバル会社が参入してきそうならあえて特許とってハッタリかますのもありでしょう。
ちなみ、特許庁のデータベースで調べたところ、発明の名称に「生産管理」というキーワードを含む特許は、272件ヒットしました。これ以外にも生産管理に関する特許は多数あるはずです。
≪まとめ≫
生産管理は会社の重要なノウハウです。特許をとる以前に、企業秘密としての管理は絶対に必要。1人の担当者に依存していると、その人がいなくなった途端にボトルネックになるんでお気を付けください。
2014年12月21日
著者 ゆうすけ
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