休眠特許はネタの宝庫!アイデアを再利用した商品企画がアツい!
とったけど使っていない特許を休眠特許っていいます。登録してあるので、基本的にそのアイデアは特許で守られた安全なものとなります。
だったらそれで事業しなきゃもったいないじゃん!というのが休眠特許を活用しようという思想。宝の持ち腐れってやつですね。
ただ特許の持ち主としては、とりあえず真似されないようにとったけど事業化は大変なんだよね、とか、やっても儲からないよな、とかいう気持ちがある反面、せっかくとったから簡単には捨てられない、という気持ちもあるようです。だから100万件以上ある特許のうち、半分以上が休眠特許となってしまったんでしょうね。
そんな休眠特許の活用方法として新たな一手を投じたのが「さいたまモデル」です。
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特許のアイデアを再利用してみんなで商品企画!
SAITECの鈴木副センター長は「さいたまモデルは一般からアイデアをネットで募集するのが肝。『こういうものがほしい』というアイデアが多く寄せられる。ニーズがあるものなので短期間で商品化につながりやすい」と指摘する。
<引用:2014/10/29 産経ニュース 「「休眠特許」活用 一般からアイデア募集「さいたまモデル」全国展開へ」>
休眠特許の活用の壁は、活用できるのか?活用しがいがあるのか?という経営判断のみならず、そもそも特許の内容がわからない、という点です。
たとえば商品企画の会社がネタ探しで休眠特許一覧を見たとします。そのとき特許文献を見るわけですが、おそらく専門家以外にはどういう特許なのか理解に苦しむはずです。
その問題点を解決する一つの手法が、専門家集団をつくり、そこが発信源となって休眠特許の拡販活動を行うというものです。
一方、「さいたまモデル」のポイントは、理解に苦しむ特許の内容をわかりやすく説明した上で、新しい商品企画のアイデアをウェブ上で公募するというものです。SNSの考え方を取り入れた上手いやり方ですね。
特許には必ず、過去の問題点を解決する要素が含まれているんです。たとえばスマートフォンなら、ガラケーになかったアプリのインストール機能をつけた、とか、ディスプレイを指でズームできる機能をつけた、とか。
そういう特許のウリをわかりやすく説明することで、それならこんな商品があったらいいな!とか、あんなことできないかな?、とかをみんなで案出しできるようにしたのが「さいたまモデル」となります。
つまりモノづくりで最も大切な「商品企画」の元ネタに休眠特許を活用し、SNSで聞き出したニーズで休眠特許をブラッシュアップして時代に合った企画に仕立てるというビジネスモデルが「さいたまモデル」の根幹にありそうです。
≪まとめ≫
特許はとるだけじゃ脳がありません。出口戦略が重要です。とった後どうするかをとる前から考えるべきです。それを怠ると、あなたの特許も永眠してしまうかもしれません。
2014年10月30日
著者 ゆうすけ
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