営業戦略に特許と意匠登録を活かす3つの具体策
知的財産戦略って言葉はあいまいであまり好きじゃありません。で、結局どうすんの?て思うから。だからその具体策を常に研究しています。でも、その具体策はケースバイケースで、目的によってかわります。競合他社と勝負するために特許を武器にするのか?その武器は鋼の剣にすべきか?それとも棍棒で足りるか?などなど。
特、B to Cの会社や一般消費者向けの商品を扱う会社は、営業戦略とセットで考えないといい具体策が決まらないわけです。ユーザーニーズに応えるための商品企画と、それをカバーする知的財産の戦略。だから営業の場面で活かせる特許や意匠登録の考え方を取り入れるべきと考えています。
そんな具体策を今回は3つご紹介します。
photo credit: President of the European Council via photopin cc
1.競合他社の改良品をけん制するための特許出願
フロントランナーの企業が特許を取った場合、その製品(つまり特許製品)を強きで展開してきます。そしてその特許の範囲に含まれるような改良品をどんどん製造開発します。
そうすると後発の企業として考えるべきことは、その特許製品の改良パターンをできるだけ増やさないようにすることです。特許が取られているから仕方がない、とあきらめるのは早いです。
たとえば改良パターンが“製品サイズの違い”ならば、そのサイズ変更を止められる特許出願をすることで、その改良パターンをけん制することができます。つまり“特許になるかどうかわからない状態”をつくるわけです。実際に特許をとれる可能性は低いものの、相手に改良パターンを好き放題作らせないためのあしかせには少なからずなります。
2 特許出願して早期審査の申請
特許が取れた製品は営業文句に使えます。たとえば「これはうちの特許だから、他はつくれない」とか。特許を技術開発の場面だけで考えるのは時代遅れです。積極的に活用する場面がつくれるはずです。
そのため特許出願してから早期審査の申請をすれば、早く特許の審査をはじめてくれるので、その分審査結果が出るのが早くなります。2012年実績だと、早期審査の申請から平均約1.9か月で結果が出るようです(特許庁調べ)。
ちなみに製品を実際に製造販売している場合や、早期審査の申請から2年以内に生産開始を予定している場合なら、早期審査の条件は満たしています。
3 デザインの特徴部分をパターンで意匠登録
デザインが特徴的な製品の場合、意匠登録してパクリ品の防止を検討すべきです。デザインはパクりやすいので、劣化品を格安で売られたらたまったもんじゃありません。
また一つのデザインをコアにして、それらを組み合わせて一つの製品として展開する場合もあります。そうすると一つの意匠登録だけではパクリ品対策は心細いです。
そういうときは特徴ある部分の意匠登録を関連させて複数とる戦略があります。つまりなるべく広い権利網をつくって、パクリ品が出てこれないようにするわけです。
≪まとめ≫
実際に売る場面を想定しないといい特許なんてとれないはずです。意匠登録も同じ。現場で何が起こっているかをしっかりと情報収集して、その課題を知的財産戦略で解決するというやり方にしていくべきではないでしょうか。
2014年8月7日
著者 ゆうすけ
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