パクリ芸が商標権侵害になるかも!芸人の一発ギャグや流行語が音の商標登録として認められる可能性
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最終更新日:2014/11/15
商標トレンド
来年5月までにスタートする音の商標登録について、特許庁は審査基準を検討しています。音にもいろいろありますが、例えば企業がCMにつかっているメロディーがパクられると、商品の売上にも悪影響になりかねないため、欧米では既に音を商標登録できる制度になっています。
そういう意味で考えれば、芸人の商品である一発ギャグや流行語、特にリズミカルなものなら、商標登録の対象になりそうです。
photo credit: Fey Ilyas via photopin cc
一発ギャグや流行語は音の商標登録の条件をクリアしているか?
このことを語っている関係者が誰なのかはわかりませんが(笑)、一発ギャグも音の商標登録の対象になりそうです。そしてこの理屈から考えれば、ギャグではないにしても、流行語も音の商標登録の対象になるといえそうです。
・・・音符にしづらい音の出願の場合は、楽譜の提出を求めない例外を設ける方針で、「機械音や芸人の一発芸の音などメロディーでない分野も対象になる」(関係者)。
<引用:2014/7/20 産経新聞「“一発ギャグ”が知財になるかも…特許庁が「音」の商標登録の審査基準固める 知財大国「米国」の基準と差別化で盗用防止へ」>
そして特許庁では、商標登録を認める音が、そもそもどこの誰が発したものかを識別できるものであるべきではないかと検討しています。
(1)識別力が認められるもの(例)
音商標が言語的要素を含む場合(例えば、一定のリズムを背景に日本語で製品名・企業名等を読み上げる場合)、当該言語的要素が例えば企業名等を表すものとして出所を認識させる場合には、原則として、商標に識別力が認められるのではないか。
<引用:2014/6特許庁「音商標に関する審査基準について(案)>
商標登録する商品やサービスに対する単なる音の例としては、缶ビールなど炭酸飲料を開けたときの「プシュッ」という音や、殺虫剤などのスプレーをつかったときの「シュー」という音があげられています。
これらの音は、通常これらの商品を使用するときに発せられるものなので、識別力がないということになります。ある会社が炭酸飲料について「プシュ」という音を商標登録して独占したら、他の会社が炭酸飲料を販売すると商標権の侵害になってしまいます。それはさすがに困りますよね。
またあまりにも短すぎる音(単音ないしこれに準じるような極めて単純な音 )や、歌謡曲を認識させるような楽曲も、音の商標としての識別力がないということになります。
その他、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標(4条1項7号)、先願に係る他人の登録商標と同一又は類似する商標、登録によって商品又は役務の生産、販売、提供等を独占し、自由競争を不当に制限するおそれがあるもの(4条1項18号)のどれにもあてはまらない音なら商標登録できるということになりそうです。
これらは現行の商標登録の審査制度と変わりません。文字やロゴと同じように、音の商標も登録できる要件(識別力があるという条件)を満たすことと、登録できない要件(4条1項7号など)を満たさないことが必要になりそうです。だから逆に言えば、これらをクリアすれば、芸人の一発ギャグも流行語も商標登録できるということです。
ちなみに一発ギャグの持ち主である芸人(または所属事務所)がパクリ芸による使用行為をやめさせる(商標権侵害と主張する)なら、指定すべき役務(サービス)は「芸人による演芸の上演(第41類)」となるでしょう。また一発ギャグをCMに採用したい企業にとしては、これに音の商標登録がされていれば、宣伝活動における安心材料にもなるはずです。その際は、企業の商品やサービスを指定する必要があります(例えば、車とか飲料水とか)。
音の商標登録が認められるかもしれない一発ギャグや流行語を集めてみた
つまりあのメロディー(音)は、あの人(あの会社)の一発芸や流行語だよね!とわかれば、音の商標登録として認められることになります。 そう考えて、音の商標登録が認められる(認められた)かもしれない過去の一発ギャグや流行語を集めてみました。
・志村けん 「変なおじさん」
・オリエンタルラジオ 「武勇伝!武勇伝!ブユウデンデンデデンデン!」
・テツアンドトモ「なんでだろう~なんでだろ~」
・IKKO 「どんだけぇ~」
・小島よしお 「そんなの関係ねぇ!」
・エド・はるみ 「○○グ~!」
・楽しんご 「ラブ注入」
・スギちゃん 「ワイルドだろぉ」
≪まとめ≫
商標登録できるとはいっても、一発ギャグや流行語はパクられるくらいじゃないとひろまらないともいえます。だからそれらがパクられたら権利行使する(つかうのをやめさせる)ために商標登録するというのは現実的ではないでしょう。それよりも、文字を変えて音調をパクったギャグや言葉がつかわれないようにするために商標登録することに価値がありそうです。そういった戦略も必要でしょう。
<関連記事>
・音を商標登録できるようになる!商標法の改正案が2014年いよいよ決定か
・知財監査が必要な時代 知的財産活動が経営戦略の穴を埋める次の一手
2014年7月20日
著者 ゆうすけ
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