1文字違いの商標が登録できるかどうか判断する3つのポイント
あーでもない、こーでもない!と試行錯誤して決めたネーミング。ところが他社の登録商標に似ているため登録できないばかりでなく、商標権に抵触しているためそのままつかうと権利侵害で訴えられてしまいます。その点、商標登録できるネーミングなら、商標権に抵触するリスクも低いため安全です。
しかしようやく考えたネーミングでも、登録商標と1文字違いなんてことはけっこうあります。だからここでの判断はとても大切です。
そこで1文字違いの商標が登録できるかどうか判断する3つのポイントをまとめました。
photo credit: Jenn and Tony Bot via photopin cc
文字数の確認(何文字か?)
まずは文字数の確認です。アルファベットや平仮名(片仮名)で何文字か?文字数が違えば似てないと判断されやすいんです。
・・・外観において、いずれも欧文字6文字と片仮名3文字からなるものの、比較的少ない構成文字数において、・・・引用:異議2013-900362「ファミラ(Famila) vs ファミマ(famima)」)
文字数の確認は、外観上似ているか似ていないかを判断するのに有効です。全体の文字数が少なければ少ないほど1文字の比重は大きくなるため、1文字でも異なれば似ていないと判断される可能性が高まります。
外観上の共通点と相違点の確認(どこが同じ?違う?)
次に文字構成の確認です。商標を文字単位でバラバラにしたときにどこが共通してどこが相違しているかを明確にします。
・・・欧文字の中間部の「ami」及び語尾の「a」並びに片仮名の前半部の「ファミ」の各文字を共通にするものの、欧文字の語頭の「F」と「f」及び第5字目の「l」と「m」の各文字並びに片仮名の語尾の「ラ」と「マ」の各文字が相違するものであるから、・・・(引用:異議2013-900362「ファミラ(Famila) vs ファミマ(famima)」)
このとき共通している部分と相違する部分の場所が重要です。語頭や語尾はユーザーの注意をひきやすいので、共通している場合は似ていると判断されるリスクがあります(逆に相違している場合は似ていないと判断されやすいです)。一方、中間部分は語頭や語尾よりユーザーの注意をひきにくいので、相違していているからといって似ていないと判断するのは危険です。
ポイントは、ユーザーが通常の注意力で見誤ることがあるかないか?です。
称呼上の共通点と相違点の確認(響きが同じ?違う?)
さらに称呼(響き)の確認です。称呼が似ている似ていないは商標の類比判断においてとても重要ですので注意しましょう。
・・・本件商標から生ずる称呼「ファミラ」と引用商標から生ずる称呼「ファミマ」とは、構成音数がいずれも極めて少ない3音からなり、語尾において、音質を異にする「ラ」と「マ」とが相違するものであるから、・・・(引用:異議2013-900362「ファミラ(Famila) vs ファミマ(famima)」)
ここでも共通している部分と相違する部分の場所が重要です。語頭や語尾は発音しやすくアクセントがわかりやすいので、共通している場合は似ていると判断されるリスクがあります(逆に相違している場合は似ていないと判断されやすいです)。一方、中間部分は語頭や語尾ほど発音しやすいわけではなくアクセントもわかりにくいため、相違しているからといって似ていないと判断するのは危険です。
ポイントは、相違点が称呼全体に与える影響が大きいか小さいか?一連性があるかないか?紛らわしさがあるかないか?です。
≪まとめ≫
商標の登録件数は年間10万件くらいです。早いもの勝ちで、なるべくオリジナル性の高い商標が安全です。だからきわどい商標で勝負する場合は十分にご注意ください。
2014年5月19日
著者 ゆうすけ
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