アドバイスは聞くな!ダイソン流モノづくりの極意は失敗とデザインエンジニアリング
公開日:
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最終更新日:2014/05/16
ビジネスモデル
国内メーカーの掃除機は平均3万円のところ、ダイソンの掃除機は平均8万円。10年以上前からダイソンの掃除機のことを知っていたけど、当時は20~30万円くらいで販売していました。だれがそんな高い掃除機買うんだ?って不思議だったんですけど、今では掃除機を根本から変えてしまった画期的な大発明になりました。
どうやらその秘密は、失敗とデザインエンジニアにありそうです。そこでカンブリア宮殿で特集されたダイソンについて一部整理しました。
photo credit: Robert Scarth via photopin cc
5127個目にしてサイクロン式掃除機が完成!そして悪戦苦闘したライセンス交渉
ダイソンがサイクロン式掃除機を発明した切っ掛けは、従来の掃除機をつかって部屋を掃除していた時のことです。吸引力が弱まってゴミが吸い込みなくなりました。そのためダイソンは掃除機のゴミ袋を取り出し、穴をあけてゴミを捨てました。そしてその穴をテープで止めて再利用しようとしたところ、やっぱり吸引力は弱いままでした。
そのときダイソンは掃除機に不満を覚えたそうです。掃除機でゴミが吸い込みないってどういうことだ!と。それからダイソンはゴミ袋のいらない新たな掃除機の開発に乗り出しました。その数は合計5127個。試作段階の途中では、奥さんに生計を立ててもらったり、エジソンの名言に感銘を受けたりと、いろいろなエピソードや心境の変化があったそうです。ダイソン社の社員も、ダイソンのことをこう言っていました。失敗を良しとする辛抱強い人だ、と。
しかし製品として完成はしたものの、ダイソンには商品化する資金も設備もありませんでした。そのため世界中のメーカーを渡り歩き、サイクロン式掃除機の製造を許諾するライセンス契約交渉に乗り出しました。ところがどこも交渉には応じなかったそうです。ダイソン曰く、大手メーカーは新しい技術を取り入れる必要がなく、従来の技術で十分と判断したからです。
そしてようやくライセンス契約を結べたところには、日本のメーカーも含まれていました。そのためダイソンは日本にとても感謝すると共に愛着があるというエピソードもあります。このように失敗してもやり続けたことが成功につながりました。
デザイナーはいない、いるのはエンジニアだけだ!
結局、メーカーにとって大切なことは製品の良さだとダイソンはいいます。会社経営において、製品ではなくマネジメント重視になってしまうとダメだ。よい製品をつくれば会社は発展する、と。そしてよい製品とはよい機能であって、よいデザインではないともいいます。デザインがよくても機能がわるい商品は売れないと。
そのためダイソンではエンジニアしかおらず、デザインはすべてエンジニアが手掛けているそうです。なぜならダイソン自身もエンジニアであり、デザインとエンジニアを分けるべきではないと語ります。見た目だけでなく、使い勝手,素材,耐久性,それらすべてがデザインだからです。
だからダイソン社にはデザインの参考となる他社の製品や模型やパネルが展示されています。競争用自転車だったりベビーカーだったりソニーの防止用ウォークマンだったり。これらの商品の共通点は、常識を裏切る画期的な機能であり、それが優れたデザインとなるんです。
≪まとめ≫
ダイソンが唯一しないことは、アドバイスだと言います。だからアドバイスするなら、アドバイスを聞くな!だそうです。なぜなら人と違うことをするのにアドバイスできる人はいないからです。
過去に成功した経験なんか関係ない。やりたいことをやって絶対にあきらめないことが大事だ!
2014年5月15日
著者 ゆうすけ
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