こんなので特許は取れないでしょ!と思うアイデアがうっかり特許になる3つの理由
どうせ特許とれないからいいよ~ってあきらめムードの方にお伝えしたいですね。特許そのものを取るのはそんなに難しくはありません。だから迷う時間があったら特許出す方針で動いたほうが絶対いいです。先に出されたらそれこそ特許取れなくなるからです。
そこで、こんなので特許は取れないでしょ!と思うアイデアがうっかり特許になる3つの理由をまとめました。
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どの文献にも書かれていない(公知の技術ではない)
特許出願に対し、審査官はその特許が出願された日より前に、似た特許出願が公開されていないか?とか、似たアイデアが雑誌や新聞に掲載されていないか?とか調べます(ちなみにそのときは外部の調査機関に依頼します)。
このとき大抵、特許出願A,B,Cが公開されてからダメ!とか、雑誌D,Eで掲載されてるからダメ!というふうに文句をつけてきます。この文句を拒絶理由通知という書面に記載して送ってくるんです。
でもこの拒絶理由通知に対して、いやいや、A,B,C,D,Eの内容とは違うから特許にして!とお願いしたり、極まれに審査官が文句つけてこなかったりするときがあるんです。なぜなら似た内容がどこにも書かれていない(公知の技術ではない)からです。
つまり似たようなことが書かれている文献が見つからなければ、基本的なアイデアでも特許になるんです(文献にも載らないくらい当たり前なアイデアは除く)。これが「特許は早い者勝ち」のゆえんです。
文献にその特許を否定することが書かれている
一方、審査官によって発見された特許出願A,B,Cや雑誌D,Eに似た内容が書かれてあったとしても、突破口があります。それは、これらの文献に特許を否定することが書かれている場合です。
たとえばA,B,C,D,Eの内容を組み合わせると特許になってしまうけど、Aの一部に書かれている内容を踏まえると特許は無理だよね~ということを審査官に言うんです。これを特許の阻害要因なんていいます。
審査官が理解してくれる
ちなみに近年では特許出願後、出願審査請求をした案件で特許になる確率(特許率)は50%くらいです(たとえば100件特許出願して、50件出願審査請求したら、25件は特許になるという計算です)。
また審査官は特許庁が作成する審査基準にのっとって審査します。だからたまに???と頭の上にはてなマークがつくような審査結果が来ることもあります。こちらの特許出願の内容を理解できていないパターンが多いんです。
でも特許率から推測すると、特許庁も特許を増やそうという傾向にあるようです(特に中小企業に対しては手厚いかも!?だからといって審査が甘すぎる!というわけでもありません)。
それに審査官も人の子で、直接合いに行ったりする(面接を希望する)と、こちら熱意をくんでくれることがあるように感じます(っていうか、直接会って話すと、それでようやく審査官がこちらの特許の内容を理解してくれることもけっこうあるんです。会って話したほうが早いってやつですね)。
≪まとめ≫
スタートアップでexit狙ったりアメリカ進出狙ったりするなら特許はあって損はしません。国際的に審査を標準化する施策もあるため、どこかの国で特許が取れれば他の国でも特許が取りやすくなります。そのファーストステップとして日本を選択するのも一つの手段です。その際は、広く権利を主張できる特許になるよう、ちゃんと作戦を練ることをオススメします。
2014年5月13日
著者 ゆうすけ
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