アニマルラバーバンドから学ぶ、デザインにも解決したい課題があるといい!
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ビジネスモデル
「アニマルラバーバンド」という面白い輪ゴムがあるのをご存知でしたか?世界30カ国以上で売られる大ヒット商品で、デザインに関して高い評価を得ています。
そんな「アニマルラバーバンド」の制作エピソードが紹介されていたので拝見したところ、商品企画の参考になるコメントがありました。
photo credit: Jeremy Jenum via photopin cc
デザインにも解決したい課題があるといい
輪ゴムにデザインを施しただけの作品かと思いきや、実は解決したい課題がちゃんとあったんです。そこまで見抜けませんでした。
輪ゴムって、価格も安く機能も抜群で、工業製品としては完璧な物。それをデザインで変えられるとしたら、意味のある挑戦なんじゃないかと考えたのです。
“完璧な輪ゴム”に弱点があるとすれば何なのか。2人で考え抜いて見つけたのが、「すぐ捨てられてしまう」ということ。輪ゴムって繰り返し使えるものなのに、床に落ちていれば捨てたり、掃除機で吸ったりして終わりですよね。でも、落ちていたら拾うし、持ち主に戻したくなる輪ゴムができたらいいんじゃないか……。ならば感情移入できる要素を加えてみたらどうだろう? そうやって生まれたのが動物の形の輪ゴムというアイデアでした。
<引用:2014/04/24 朝日新聞デジタル 阿久根佐和子「持ち主に戻したくなる輪ゴム」>
まずそもそも輪ゴムに着眼した点が斬新ではないでしょうか。輪ゴムといえば大概の人が茶色くて円状の細いものをイメージするはずです。そして輪ゴムの用途はモノを束ねたり開いた口を縛ったりことであり、それ以上でもそれ以下でもありません。だからそれ以外に何か発想しよう考えたことがイノベーションへの第一歩なのかもしれません。
また従来の輪ゴムが抱えている課題を、それ自体の役割(結束すること)ではなく、使い捨てられていることに設定したあたりも盲点ではないでしょうか。輪ゴムの単価は極めて安い → だから使い捨て同然に扱われている → しかしそれはおかしい、という論理展開です。
使い捨ての定義を再検討
たしかに使い捨てというのは、1度使ったら使用前の状態には戻れないものを示すはずです。たとえばカイロ。あれは1度使ったらもう発熱機能を発揮できなくなるから、間違いなく使い捨てです。またホテルのひげそりとかくし。あれは本来の機能そのものは発揮できるものの、衛生の面でそのままでは再利用付加、ということで使い捨てです。
そう考えると、1度使ったとしても、輪ゴムってに本来の機能を発揮できるし、衛生の面でも潔癖症の方以外は問題ありません。だからデザインを付加すれば、再利用もしたくなるし、アクセサリーなどの使い方もできるじゃないか?というのが、まさにデザイン思考といえるのではないでしょうか。
≪まとめ≫
世の中の課題を解決するのは、ITのような仕組みづくりだけではなく、デザインでも実現できるといえそうです。また課題を解決するデザインを実現するには、本来のモノづくり、つまり強度設計や原価計算ばかりでなく、その知的財産権の検討も必要です。なおアニマルラバーバンドは意匠登録されています。
2014年4月30日
著者 ゆうすけ
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