商標登録もオープン化の時代へ!誰かの商標に引っかかったら協力して登録しよう
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商標戦略
ネーミングやロゴもアイデアの一つです。そして事業を安全に継続する(ファンにサービスを提供し続ける)には、アイデアを登録して守ることも必要でしょう。
しかしどうしても登録=独占となりがちで、オープンな時代にはあっていないという声もあります。だから登録した商標を無償で使わせたり、契約してパートナーシップを組んで使わせたりするケースが増えてきました。その思想は商標登録する場面でも活かせるはずです。
そこでオープン化の時代にあった商標登録の考え方と誰かの商標に引っかかったときに協力して登録するやり方をまとめました。
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「少しだけ開かれた考え方」を持とう
あるデザイナーさんの記事で商標登録について取り上げられていたので引用しました。とても実務に沿った考え方だし、これからの時代にマッチしているなって思いました。
日頃、特にネーミング開発のお手伝いをする際、「商標」というテーマにおいて「他社との権利関係の問題だけは発生しないよう滞り無く進めたい」という話をされる方がいます。そのような場合、わずかなハードルをクリアすればコミュニケーション展開が飛躍的に拡がるにもかかわらず、「専権」に拘りすぎて閉塞的なスクリーニングに陥り、結果アイデアが日の目を見ないケースが多くなってしまいます。
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GoogleとNestleのように互いのブランド資産を友好的に活用するのは一朝一夕では難しく、どの企業にも出来る事ではないかもしれません。しかし、「少しだけ開かれた考え方」を持ちアイデアを見通す事が、ブランドコミュニケーションを飛躍させる上で重要ではないかと思います。<引用:株式会社TCD Think Branding 著者 西川将史「ネーミングと商標 002:洒落たコードネーム「GoogleとKitKat」」>
「少しだけ開かれた考え方」を持つというのはとても大切なことですね。これにもオープンソースの思想が使えるはず。GoogleとKitKatのように互いが互いのブランドを高め合えるメリットを考え実行することは、これからの時代にマッチしていると思います。独占するのではなく、共有し、共創し、共存する手法がスタンダードになるかもしれません。
たしかに商標登録の相談を受けたときにネーミングやロゴが登録できるか調べてみると、どうしても先に登録された商標に引っかかってしまい登録できないことがあります。それでもすぐにあきらめる必要はありません。一般的に他人の商標登録に引っかかってしまったときに取れる措置は2つありますが、ここでは「開かれた考え方」を取り入れたやり方をご紹介します。
相手に協力してもらえれば商標登録できる
何が言いたいかというと、自分が持ち主の登録済み商標に似ている商標なら登録できるんです。わかりやすくGoogleとKitKatの例でいうと、もしGoogeが「Android KitKat」というネーミングを商標登録したい場合、KitKatに商標登録の出願人になってもらえれば登録できちゃうんです。※ここでは日本の商標法に基づいてお伝えしています。
そこで引っかかってしまう原因となった商標登録の持ち主(商標権者)を、自分が登録したい商標の持ち主(出願人)に一時的になってもらることができれば、商標登録できます。そして登録できたら、再び自分が商標登録の持ち主(商標権者)になればいいわけです。このやり方をいわゆる「アサインバック(アサインメントバック)」といいます。
GoogleとKitKatの場合でも、使いたい側(Google)が使わせる側(KitKat)に交渉しています。これと同様に、もしアサインバックの協力を得たい場合、引っかかってしまう原因となった商標登録の持ち主(商標権者)に、自分が登録したい商標の持ち主(出願人)になってもらう交渉が必要です。このとき交渉成立の条件として、対価やビジネスでコレボするなどそれ相応のインセンティブが必要なのが一般的です。
≪まとめ≫
商標登録に執着することは悪いことではないと思います。登録できるということはオリジナル性が高いとも言えるからです。しかし伝えたいことが伝わらない妥協案的なネーミングやロゴになってしまっては本末転倒です。
そんなときはとにかく第一希望の商標で登録申請し、もし登録済みの商標に似ていると審査されてしまった場合は、アサインバックにトライする価値はあるでしょう。しかしこのとき相手によっては不当な対価を要求されたりあっさり断られたりすることもありますのでご注意ください。ま、そんなときは揺さぶりをかけたりもしますが。。。
2014年4月29日
著者 ゆうすけ
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