京都の歴史と自然とモノづくりを融合したお宿「ウサギノネドコ」は一見の価値アリ!
モノづくりが盛んな京都では、自治体の情報発信やスタートアップのイベントなどが熱いです。その分どうやって他と差をつけるかは考えどころ。単なる歴史、単なる自然、単なるモノづくりでは、注目されにくいかもしれません。
そこでこれらを融合させてイノベーションを起こしたのが「ウサギノネドコ」を経営している吉村紘一さんです。吉村さんとは学生時代からボランティアチームのメンバーとしての付き合いがあり、今ではこうしてお互いのビジネスの話ができるようになって嬉しい限りです。
そこでぼくが見てきた「ウサギノネドコ」のポイントをまとめましたので紹介します。
歴史ある民家の有効活用
「ウサギノネドコ」は、もともと大工の棟梁だった吉村さんのおじいさんの関係で、お弟子さんたちがつかっていた寮を改築してつくったそうです。京都には歴史的に有名な建造物だけじゃなく、町にたたずむ民家にもおもむきがあり、散歩するだけで情緒を感じます。
入口には「ウサギノネドコ」ののれんがかかっています。これも京都っぽいですね。もともと大手広告代理店につとめていた吉村さんらしさを感じるデザインとネーミングです。
ウサギノネドコは「ヒカゲノカズラ」という植物の呼び名として古くから日本で親しまれてきました。 呼び名の由来はさだかではありませんが、フワフワとした感触の葉や茎を、兎にとっての居心地のよい住空間と見立てたのではないかと思われます。 私たちの小さなお店も、お客様にとっての居心地のよい空間を目指したい、そんな思いでウサギノネドコという名前をつけました。
また、その原始的な造形が美しく、店のテーマが「自然の造形美」ですので、ヒカゲノカズラを家紋調にあしらったロゴをデザインしています。 また京町家は入り口が狭く、奥に長い事から「ウナギノネドコ(鰻の寝床)」ともいわれていまして、その名前ともひっかけております。 京都引っ越し以前から、私たち夫婦が温めていた名前です。 皆様に愛されるお店として育てていきたいと思います。
屋内には上まで伸びた竹のオブジェ。質素な建物の内側にちょっと変わったアクセントがあるとまた違う印象を受けます。
一階から二階にあがる階段です。宿泊できる部屋にご興味ある方はこちらをどうぞ。
壁面緑化で表現力をアップ
「ウサギノネドコ」では中庭も楽しめます。なぜなら離れの浴室の外壁には壁面緑化がほどこされているからです。
そもそも壁面緑化とは、壁面の景観を良くするためだけじゃく、都心の中の自然環境を増やすことで昆虫や動物の生態系を守ったり、建物への日射を遮って植物の蒸散作用で壁面温度の上昇を抑制したりするために利用されています。
「ウサギノネドコ」では主にコケを蓄積させて壁面をデコレーションしています。でも実はこれが大変だとか。コケも沢山積み重なれば重力に勝てずに落っこちてきてしまうからです。さらに他の草も生えてくるから手入れに手間がかかるわけです。
自然をそのまま生かした造形美アート
さらに「ウサギノネドコ」はアートショップも兼業しており、自然に生息している植物や昆虫をアクリルに封入したシリーズ作品「sola cube(ソラキューブ)」を販売しています。
そして代表作がたんぽぽの綿毛をそのままアクリル封入した「たんぽぽキューブ」です。アクリル封入は特殊な技術が必要で、吉村さんはこの技法をもつ業者さんを探すのに苦労したそうです。しかしその甲斐もあり、今では大手量販店でも販売するくらいのヒット商品となりました。
その他にもカブトガニの模型なんかも展示してあります。どれも独創的ですが、自然をテーマにしているのが共通点です。
≪まとめ≫
吉村さんはモノづくりを一通り自分でやりたかったそうで、企画,デザイン,製造,販売,マーケティングまで経験したかなり貴重な存在です。さらに京都ブランドを活かしたアートショップとお宿の経営は目のつけどころが違うと感じました。今後も自分でアートプロダクトを作りつつ、他の人のモノづくりのディレクションなども手掛けていくそうです。そんなお話もひょっとしたら「ウサギノネドコ」に行けば聞けるかもしれませんよ^^v
2014年4月7日
著者 ゆうすけ
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