パロディも戦略!「フランク三浦」と「フランクミュラー」はどちらも商標登録されてた
パロディ版の商品はいろいろありますが、そのときの一つの問題がネーミング。本家と似てるネーミングにすればそれだけ話題になりますが、商標権を侵害してしまうリスクもあります。
しかし「フランクミュラー」のパロディ版「フランク三浦」は侵害しているどころ、商標登録されています。つまり”守れるネーミング”を選択し、オリジナルのブランド戦略が成功しているといえそうです。
商標登録できたということは差別化できてる証拠
バラエティ番組でも取り上げられるほど人気の「フランク三浦」。パロディの好事例です。
お笑いコンビ「ライセンス」が気になる「ワケあり人」を紹介するバラエティー番組「ワケあり!レッドゾーン」(読売テレビ系)で、どこかで聞いたことのあるネーミングで知る人ぞ知るオリジナル時計「フランク三浦」を製造・販売する天才時計師・下部良貴さんが出演したことが縁で、番組プロデュースのオリジナル時計を製造することが決まった。
<引用:毎日新聞デジタル「ワケあり!レッドゾーン : ライセンス、“お笑い”時計「フランク三浦」をプロデュース 宮本慎也も愛用」>
それにしてもネーミング(商標)、似てると思いませんか?商標が似ているかいないかを比較する場合、見た目(外観)・響き(称呼)・意味合い(観念)のうち、一つでも似ていれば、原則として商標は似ていると判断されます。
「フランク三浦(ミウラ)」と「フランクミュラー」とを比較すると、見た目(外観)と意味合い(観念)は似ていませんが、響き(称呼)がきわどいです。「ミウラ」と「ミュラー」の響きが似ているかどうかが判断のカギとなります。このような場合は、文字を分割し、響きだけじゃなくて口の動きの違いも分析すると、違いが見えてきます。
「ミ」 ⇒ 一度口を閉じて、下くちびるを後ろに引きながら発音
「ウ」 ⇒ しっかり発音
「ラ」 ⇒ のばさずに発音
「ミュ」 ⇒ 一度口を閉じて、両くちびるを尖らせて発音
「ラー」 ⇒ のばす発音
つまり「ミウラ」と「ミュラー」を厳密に比較した結果、響き(称呼)も似ていないと判断されたようです。
≪まとめ≫
一文字違うだけでも商標が似ていないと判断されることも多々あります。判断の仕方としては、口の動きも検討すると似てる似てないがより明確になります。
2014年4月4日
著者 ゆうすけ
追記:2016年4月12日
一旦は特許庁(無効審判)にて登録無効とされた商標「フランク三浦」ですが、裁判(知財高裁)にて再び登録有効と判断されたようです。
鶴岡稔彦裁判長は「呼び方は似ているが、両者は明確に区別できる」として商標登録は有効と判断した。
<引用:2016/4/12 「「フランク三浦」認める…似ているが区別できる」 by 毎日新聞>
商標登録の有効性は、外観・称呼・観念の類否判断みならず、実際の商取引上の採点(価格など)も考慮されるということですね。
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