在宅医療のビジネスモデルが高齢化社会を救う!医師もマネジメントが必要な時代
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ビジネスモデル
将来、死に場所を選べなくなるかもしれません。病院では死ねないから自宅で死を迎えざるをえない時代がくる、という問題定義から在宅医療を展開している祐ホームクリニックのビジネスモデルについて、カンブリア宮殿で紹介されていました。
そこで祐ホームクリニックや武藤代表の想いや思想を整理しました。
photo credit: Alex E. Proimos via photopin cc
在宅医療が評判の理由
在宅医療というと、病院がない地方で医師が自宅を訪問するスタイルを思い出します。しかし都会では都会なりの在宅医療のメリットや価値があるようです。
というのも、高齢者を支える家族にとって、病院通いはかなりハードだそうです。移動しかり、待ち時間しかり。その点、在宅医療はそれらの手間が一切ないため重宝されています。ちなみに在宅医療の問診は月2回で約7,000円。介護費用の一部と考えれば決して高くないでしょう。
祐ホームクリニックでは内科や皮膚科などいろんなジャンルの医師と看護師が勤務しているため、診察レベルが低いということはなさそうです。また現場の情報、たとえば撮影した患部の画像データをオフィスに送信し、適した治療を検討するスピーディーな対応も実行しています。それに患者の心のケアや生活へのアドバイスも行っているそうです。
徹底したチームプレー
在宅医療の仕組み自体は昔からあるものの、一人の医師では限界がありました。医師の高齢化やマンパワー不足は不安材料であり、その点に武藤代表は気づきました。つまり病院医療と同様に、在宅医療も組織化するということです。
現場での治療の連携のみならず、行きにくい患者の家までの最短ルートを地図化してデータ共有できるようにしています。こうすることで担当外の医師も緊急時に迷うことなく訪問できるというわけです。
さらに心の連携も徹底している点に感動しました。在宅医療で重要視している一つが、自宅での看取りです。だから当然、スタッフの医師たちも患者の死に向き合い、オフィスで黙とうを捧げるなど想いを共有しています。
医師だってマネジメントが必要
武藤代表のキャリアは異色で、優秀な医師だったにも関わらず、マッキンゼーで会社経営のノウハウを学びました。それは医師時代に在宅医療の現状を目の当たりにし、なんとかしないといけないと思ったからだそうです。
医師だから医療だけやっていればいいという考えは一切なさそうです。スタッフ一人ひとりが考えて行動しなければ、指示がないと動けない組織になってしまうと危機感を持っているからです。そのことについてスタッフも自覚し、情報共有や効率化を徹底しています。
そのため定期的にドラッカーの本をスタッフ全員で読み合わせ、マネジメントと問題解決能力を養う努力をしています。
≪まとめ≫
仕組みづくりの根本は人です。人がやらなくていいことをシステム化しているだけであり、システム化できないところは人ありきです。しかし人のマインドを変えることは簡単ではなく、もし変えたいなら、経営者が背中を魅せて想いを伝え続けるしかないかもしれません。祐ホームクリニックは武藤代表のビジョンや経営方針に共感し、スタッフが一丸となったのではないでしょうか。
2014年3月6日
著者 ゆうすけ
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