アイデアを共有してモノづくりできる「Wemake(ウィーメイク)」に注目!
クラウドを活かしてモノづくりを支援するスタートアップは増えてきました。例えばランサーズやクラウドワークスなら、仕事を頼みたい人と請けたい人とのマッチングを行う仕組み。仕事を頼みたい人が依頼(デザイン、ロゴ、ネーミングなど)を提示し、仕事を請けたい人がアイデアを出すコンペ方式です。
しかし11月13日に正式リリースされた「Wemake(ウィーメイク)」では、あるユーザーが投稿したアイデアについて他のユーザーでコメントし合ってよりよくするためにアイデアを共有できる仕組みです。
企画→製造→販売まで可能
過去にもアイデア共有サイトはあったと思いますが、製品化まで協力してくれるところは記憶にありません。特許の仕事をしてよくあるのは、自分で発明したものの、商品を製造することができないというパターンです。この場合、発明者は製造委託先を探さなければならず、かなり苦労しています。
また仮に製品化できたとしても、今度は売り先がないというパターン。むしろこっちの方が困ってしまいます。せっかく大金出して特許を取って製品化までこぎつけても、扱ってくれる会社が決まらなければ話になりません。
このような残念な結果になってしまう最大の原因は、マーケティングしながら商品企画や特許戦略を進めなかったからです。つまりユーザーのリクエストを取り入れ、ファンを増やしながらモノづくりを進めなければ、売れないリスクが高い時代なのかもしれません。
その点「Wemake(ウィーメイク)」には、他のユーザーからアドバイスをもらえるだけではなく、投票によりファンを獲得しなければ製品化に進めません。一見厳しい仕組みのように思えますが、自前でアンケートを集めたりソーシャルメディアでファンを集めたりするよりもずっと楽なはずです。むしろここでファンを獲得できなければ、自分で製品化しても売れる見込みがないと割り切れるのではないでしょうか。
最初から自分の取り分がわかる
このような多数のユーザーが参加してゴールに向かう価値共有型のクラウドサービスの場合、報酬、つまり自分が協力した分どれくらいもらえるのか?があいまいになるリスクがあります。貢献した分のうま味を公平に分け合う仕組みが一つの課題だったはずです。
しかし「Wemake(ウィーメイク)」では、貢献度の割合がはじめからわかっています。誰がどのくらい報酬をもらえるかが数値化されているのです(参考:「MAKE POINTの獲得条件(MAKE IT)一覧」)。
〇アイデア提出・・・38%
〇アイデアへの提案・・・6%
〇投票の採択・・・5%
〇リサーチ・・・5%
〇デザイン・・・22%
〇ネーミング・・・6%
〇コピーライティング・・・6%
〇カラーリング・・・2%
これを見ると当然にしてアイデアの発起人、つまり発明者が一番報酬を貰える仕組みです。一方、投票しただけで報酬がもらえるかもしれないとなると、清き一票をちゃんと投票する気にもなるため、売れる商品を選択する精度が上がるはずです。
その他、プロダクトの段階では、リサーチ・デザイン・ネーミング・コピーライティング・カラーリングといったクリエイターが活躍できる場もあるようです。こういう点も未来型のモノづくりといえるのではないでしょうか。いろんな人が関わる分、コンセプトをしっかり共有できれば、いいモノづくりが期待できそうです。
最終的に、製品が販売されるとそれぞれ与えられた「MAKE POINT」に応じて、収益が分配されます。ちなみにこの「MAKE POINT」と収益の関係は明らかになっていません。というのも、100万円利益が出た場合、100万円を先の登場人物のみで配分するのか?それとも半分の50万円分が「MAKE POINT」として与えられて先の登場人物で分配するのか?がわからないということです。当然、サイト運営やWEMAKEスタッフの取り分もないと運営できないでしょうから、その辺はうまくやるのでしょう。
まずは1年間の目標達成に期待
オープン前の11月11日の時点で、すでに1200名以上のユーザーが登録していたそうです。そしてこの1年間の目標が公表されています。
オープン1年後までに、月間1500件の新規アイデア投稿、月間3件の商品化体制と、累計10000件のアイデア数、累計15個の商品化実績の実現を目指す。オープン時点では、プロトタイプ2点、アイデア40数件が掲載される。(2013/11/15 CNET JAPAN独力では商品化できないアイデアをクラウドの力で世に送り出す「Wemake」が正式公開)
アイデア投稿、投票するファン、クリエイター、製造や販売の協力拠点が結集してはじめて達成される壮大な目標。でも夢いっぱいな 「Wemake(ウィーメイク)」に期待するともに、注目し続けたいです。
≪まとめ≫
今までありそうでなかった、そしてあったらいいな~と想っていた仕組みが登場したことに、時代背景と技術革新を感じています。3Dプリンタなどハードウェアでもモノづくりのハードルが下り、さらにアイデアや思想などソフトウェアでもモノづくりのハードルが下がってきたことで、イノベーションが起こる確率も高まってきたのではないでしょうか。
<参考>
・Wemake(ウィーメイク)
・CNET JAPAN独力では商品化できないアイデアをクラウドの力で世に送り出す「Wemake」が正式公開
2013年11月16日
著者 ゆうすけ
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