新しいネーミングを商標登録すべき3つのタイミング
商品名や店名のネーミングを決めたけど、商標登録したほうがいいですか?というご質問をうけるときがあります。結論からいえば、するに越したことはありません。しかし商標登録するにはお金がかかるため、タイミングをちゃんと検討すべきです。
そこで新しいネーミングを商標登録すべきタイミングを3つまとめました。
1.真似されたくないとおもった瞬間
あたりまえでしょ?と思うかもしれませんが、自分の気持ちに意外と気づいていません。真似されたくない気持ちが本当にあるかどうかが、商標登録すべきかどうかをきめる最も重要な判断材料です。
商標登録したことがある人に聞いたところ、以下のようなときに真似されたくないと思うそうです。
〇売れるネーミングと直感したとき
これはいうまでもないでしょう。誰がなんと言おうと、自分のセンス(第六感)を信じるべきです。
〇お客様からいいネーミングと評価されたとき
いい評価をえるネーミングをつくるのは簡単なことではありません。意味や想いがすぐに伝わることが理想ですが、業種によってはそうでないこともあります。そのためお客様の評価を基準にするなら、10人が目安です。10人という数字に科学的な根拠はないものの、10人のお客様からいいネーミングだねっていわれたら、自信をもっていいでしょう。
2.商品が売れはじめた瞬間
なんでもそうですが、売れてないときは誰も見向きもしません。売れてないアイドルや歌手が誰にもモノマネされないのと同じです。売れているからモノマネされるんです。なぜならモノマネした芸人も売れるからです。
ではなぜモノマネした芸人も売れるのでしょうか?それは売れているアイドルや歌手の人気をおすそ分けしてもらえるからです。人気アイドルのモノマネは誰もが興味津々です。
ネーミングも同じです。売れてない商品のネーミングは真似しがいがありません。真似してもおすそ分けしてもらえるお客様がいないからです。一方、売れている商品のネーミングは真似しがいがあります。モノマネ芸人が芸名まで真似するのは、その分お客様をおすそ分けしてもらえるため、真似しがいがあります。
したがって商品が売れはじめた瞬間とは、ライバルに真似される瞬間でもあるのです。このため真似される前から商標登録して予防しておくことをオススメします。誰しも礼儀正しいモノマネ芸人とは限らないからです。
3.真似してるライバルをみつけた瞬間
真似されたらもう遅いでしょ><!とおもったら大間違いです。なぜなら真似しているライバルが一人いると、あ、真似してもいいんだ~って、他のライバルもおもうからです。つまりみんなで真似すりゃこわくないってやつです。真似するライバルがふえるとまずい理由は以下です。
〇ネーミングが一般名称になってしまう
せっかくかんがえたネーミングなのに、ライバルに勝手につかわれると、あたかも昔からつかわれていた言葉(一般名称)のようにあつかわれてしまいます。かつて米オーチス社が商標登録していた「エスカレーター」は、自動式階段をしめす一般名称になってしまいました。
一方、味の素社が商標登録している「味の素」も、グルタミン酸を含んだ調味料をあらわす一般名称になりかけましたが、味の素社がこれを阻止しました。なおグルタミン酸を含んだ調味料の一般名称は、うま味調味料です。
普通っぽいネーミングほど価値が高い分、一般名称になりやすいことを忘れないでください。そして一般名称になってしまったものを商標登録するのは時間もお金もかかります。
〇ライバルに先に商標登録されてしまう
うそでしょ?と思うかもしれませんが、本当です。日本の芸能人の名前や観光地の名称が中国で先に商標登録されてしまっているのと同じです。中国国内で日本の芸能人の名前や観光地の名称をつかえば商品が売れるとわかったからではないでしょうか。
先に商登録されると、自分のネーミングなのに自由につかえなくなってしまいます。米アップル社の「iPad」も中国国内で先に商標登録されていただけで、約48億円の和解金を支払うはめになってしまいました。
ライバルとケンカするつもりはまったくなくても、先に商標登録されるとケンカせざるをえない状況になりかねません。
まとめ
オリジナルのネーミングをかんがえたら、すぐ商標登録したほうがいい場合と、そうでない場合があります。ずっと同じネーミングでビジネスをつづけるならすぐ商標登録すべきですが、ネーミングを変更する可能性があるなら、商標登録するタイミングを図るべきです。
2013年4月8日 著書 ゆうすけ
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