中国で商標トラブルが続出!しくじったかニューバランス?中国語表記に要注意!
中国の商標登録トラブル事例については以前からお伝えいています。興味ある方はトラブル事例集10の中からご覧ください。
そして、今回のトラブルは日本企業ではなくアメリカ企業で、しかもブランド力がハンパない世界的に有名なスニーカーメーカー・ニューバランスです。
そこで、ぼくが注目したいのは、中級人民法院の幹部と思われる人のコメントです。市場参入と知財は切り離せない関係であることを怖いくらい示唆しています。
photo credit: New Balance celebrates 574 Customization Kiosk in Flagship Store via photopin (license)
ヤバすぎる中国市場と商標登録の関係
同法院の幹部は「中国で公平な競争をするには、知的財産権を勉強しなければならないということを海外ブランドに気づかせてくれるだろう」とコメントしている。
<引用:2015/4/30「ニューバランスに18億円賠償命令 中国、商標権侵害で」by 朝日新聞>
中国の裁判所は、下から、基層人民法院、中級人民法院、高級人民法院、最高人民法院と階層分けされています(ウィキペディア調べ)。ニューバランス社の裁判は中級人民法院で行われました。
引用したコメントは日本語訳なので、真意は謎です。でも、China Timesの台湾版の英語ニュースサイトを見る限りでは、早い者勝ちが原則の商標登録のルール上、しかも中国語となると、ニューバランス社は分が悪いかもしれません。
簡単に言えば、中国市場参入当初、ニューバランス社は「New Balance」の中国読みからなる中国語表記「紐巴倫(Niu Ba Lun)」を使っていたけど、何かしらの理由(これも他人に商標登録されていた?)で使えなくなったため、「New」を「新(Xin)」、「Balance」を「百倫(Bai Lun)」に変更することになりました。
ところが、「百倫(Bai Lun)」(1996年に登録)と「新百倫(Xin Bai Lun)」(2008年に登録)は、既に中国国内で商標登録されていたばかりでなく、「百倫(Bai Lun)」は「Balance」のラフな中国語表記で、本来なら「New Balance」は「新平衡(Xin Ping Heng)」と表記すべきなのに「Xin Bai Lun(新百倫)」を使っていたため、商標権侵害と判断された、と報道されています。
とすると、「中国で公平な競争をするには、知的財産権を勉強しなければならない」と言われてしまうのも、まー仕方がないことだし、中国に参入する海外ブランドはやっぱり注意すべきと言えそうです。
≪まとめ≫
前々から言われていることですが、今回の事件の教訓としては、 英語表記(例えば「New Balance」)が世界的に有名だとしても、中国国内における中国語表記(例えば「新百倫(Xin Bai Lun)」)と商標登録には要注意ということでしょう。
2015年5月2日
著者 ゆうすけ
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