ニュース番組で登録商標が言い換えらている理由と企業側のメリット・デメリット
登録商標とは国に登録された商標(社名や商品名)のことをいいます。だから報道局では商標をニュース番組で発言しないよう、基本的には一般名詞に言い換えられています。
ところがそんな掟破り?が起きたのか、本日のニュース(2015年4月23日)で、登録商標が一般名詞に言い換えられずそのまま発言されたと話題になってるんです。
こういうテーマでも商標って話題になるんだ~と少々驚きつつ、そもそもなぜニュース番組で登録商標が一般名詞に言い換えられているのか?企業側にはどんなメリット・デメリットがあるのか?を整理してみました。
photo credit: DSC04670 via photopin (license)
広告の関係上、商標の発言を控えている
「テトラポッド」は、中堅ゼネコンの不動テトラ(東京都中央区)の登録商標で、一般名詞では「消波ブロック」と呼ばれている。ニュース記事でも「消波ブロック」と言い換えられるのが普通だ。
<引用:「HKT48、「テトラポッド」と歌う 登録商標や商品名を言い換えるNHKの方針は最近変わったのか」by Jcastニュース>
報道系のニュース番組は公平性が必要です。局によってはある種の思想も垣間見られることがありますが、広告的な発言はどこも控えているのではないでしょうか。
某放送局では広告に関する規約が以下のようにされています。
第12項 広告
1 営業広告または売名的宣伝を目的とする放送は、いっさい行わない。
2 放送中に、特定の団体名または個人名あるいは職業、商号および商品名が含まれる場合は、それが、その放送の本質的要素であるかどうか、または演出上やむをえないものかどうかを公正に判断して、その取り扱いを決定する。<引用:日本放送協会番組基準>
つまり企業側にとっては、自社の商標がニュース番組で発言されるだけで、宣伝効果を得られることになります。こういう意味ではメリットになりそうですね(民放では「日本民間放送連盟 放送基準」があるようですが、もうちょいゆるいんでしょうか。。。)。
商標の一般名詞化には注意
ところが、企業側としては単に商標を認知させる目的でやたらめったら拡散するのは要注意です。商標が一般名詞になってしまうリスクがあるからです。
どういうことかというと、商標登録したとしても、まるで一般名詞のように人々に使われることにより、商標権の意義を失うということです。使うのやめてーって言っても、時すでに遅しというやつです。
だからニュース番組に限らず、テレビじゃなくネットでもなんでも商標を広めるなら、登録済みであることを客観的にわかるようにしておかないとマズいんです。
例えば、うま味調味料の商品名として有名な「味の素®」も、その昔は一般名詞化しそうになったところ、商標を管理していることを明示したため、難を逃れました。味の素社の商標管理は見習う点が多いです(下記画像引用)
≪まとめ≫
というわけで、放送の規約上は商標を言い換えないのはマズいんでしょうが、企業側としてはそれなりのメリットもあるようです。ただ、あまりに拡散し過ぎて商標が一般名詞化するデメリットは忘れないようにしましょう。
2015年4月23日
著者 ゆうすけ
関連記事
-
ピコ太郎さんも驚きの商標トラブル!エイベックス社が巻き込まれた状況を図解
ピコ太郎さんの話題は2017年になってもまだまだ衰えるところを知りません。話題性
-
地域の知財活動に役立つサイトまとめ
日本では、特許庁が知的財産(以下、「知財」)の取りまとめをしていますが、特許庁は経済産業省の
-
ハッシュタグの商標戦略の考察
先日、「ハッシュタグも知的財産--商標登録する海外企業」という興味深い記事が公開されていまし
-
「必殺技」の商標戦略の考察
バンダイが「必殺技」を商標出願したというニュース(2016/3/15)が報じられました。ゲーム業
-
ジェネリック家電のコピーを防ぐ特許戦略
photo credit: blood test via photopin (license)[/