産業の新たな収益源になるか?知財権売買プラットフォーム「IP Nexus」に注目!
大企業のみならず、中小企業、ベンチャー企業、さらにスタートアップ企業においても、知的財産権(IP)の活用は重要テーマになってきました。
特にライセンス料や売却によるマネタイズを狙って特許や商標をとったとしたら、その権利を欲する相手を探さないと話になりません。
でも権利を欲しがる相手を探すのは、砂漠でオアシスを探すようなもの。相手によってはまったく価値がないこともあるからです。
そんなIPの持ち主と探し主の出会いの場となるプラットフォーム「IP Nexus」は、産業界全体の注目を浴びそうです。
IPの登録と掲載は無料
Q: 特許をサイトに掲載するための費用はいくらですか。
A: 基本的に登録と掲載は無料です。特許の販売やライセンス供与が成立した時点で12%(営利企業)または4%(非営利組織)を斡旋料としていただきます。
<引用:IP nexus FAQ>
まず気になるのが料金。従来はIP売買を専門にするブローカーに依頼していました。エントリー料は無料、契約成立時に成功報酬が発生する仕組みです。
IP Nexusでも売り込みたいIPの持ち主による登録と掲載が無料というのはとても良心的です。試しに掲載して市場の反応を見ることもできそうです。
一方、IPの探し主はポートフォリオの閲覧制限があるようです。これ欲しい!と思うIPならもっと詳しく知りたいはず。でもそれ以上は課金制のようです(参考:IP nexus FAQ)
61000IPが登録済み
このようなプラットフォームがあれば、休眠特許の課題も解決できるかもしれません。他人のIPを活用するメリットとしては、商品開発工数の短縮や事業の安全性の確保などがあります。
そしてTECH IN ASIAによれば、IP Nexusは2012年4月にローンチして以来、200の大学や研究機関を含む730のIPオーナーから、61000ものIPが集まったようです。
しかも環境問題を意識したグリーンテクノロジーに関するIPについては、WIPO(世界知的所有期間)が運営するWIPO GREENと提携することが決まっています。
IPの専門家も参戦
しかし仕組みができてもIPオーナーがIPに詳しいとは限りませんよね。っていうか大手企業のように知財担当がいない会社は、気軽に取り組めないかもしれません。
そういう場合、もし近くに相談にのってくれる弁理士などの専門家がいなければ、IP Nexusに登録している専門家に相談できるようになっています。
IP Nexusを利用するとグローバルに情報が発信されるので、外国からIPの提供を求められても、IP Nexusに登録している専門家に相談できるので便利ですね。
≪まとめ≫
海外ではかなり認知されているようですが、日本ではまだプレスリリースしていないのか、あまりメディアには取り上げられていないようです。もしこの仕組みが軌道にのれば、産業界の新たな収益構造が生まれるんじゃないかなってイメージしています。しかも代表は日本人の方なのでますます応援したいですね。
2015年3月5日
著者 ゆうすけ
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