アパレル業界の切り札になるか?商標登録だけじゃ伝えきれない純国産の証明
新年から興味深いニュースが報道されました。日本ファッション産業協議会が、衣類に対して「純国産」のお墨付きをあげる、というものです。
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知的財産権だけじゃ伝えきれない純国産の証明
アパレル関連業界が、織りや編み、染色、縫製の工程を国内で手掛けた「純国産」の衣料品に、お墨付きを与える取り組みを始めることが3日、明らかになった。値札などと一緒に独自のタグを製品に付けて販売し、日本の技術力が生かされていることをアピールする。
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経済産業省も「クールジャパン戦略」の一環として、海外展開を支援する考えだ。<2015/1/3 共同通信 「アパレル業界、純国産にお墨付き 販売回復へ経産省支援」>
ブランドの保護といえば、商標登録を取り、第三者にブランド名やロゴマークを勝手に使わせない(使ったら文句をいう)方法があります。
そもそもブランドって、その商品を扱ってる会社が長年つちかった信用です。つまり、あの会社の商品は表示通りの素材を使ってるし、品質もいい、という信用が、すでに認知されている状態。
でもブランドは目に見えないものなので、その保護の仕方は簡単ではありません。ゼロからブランドを築く、築いたブランドを維持する、ブランドを海外にも拡げるなど、ブランドの状態も多様だからです。
そこでブランドを目に見える状態に置き換えたもの(ブランドが化体したもの)が、ブランド名やロゴマークなどの商標です。「商いの標(しるし)」と書いて、商標(しょうひょう)です。
ところが商標登録は、パクリ業者がその商標を使えない状態にするもので、素材の使用や品質の保証を暗に意味するだけのものにすぎず、ユーザーにわかりやすく伝えきれていないのかもしれません。
しかも最近ではあちこちのウェブサイトで偽ブランドが出まわっている状況。これではいくら商標登録してもモグラたたき(もちろん商標登録してなければ、一匹のモグラもたたけませんが。)。
そういうブランド保護のウィークポイントを補う場合、例えば国内の素材を使用していることや特許を取った製法でつくっていることを保証するには、「純国産」のお墨付きは効果がありそうです。
でも「純国産」という目印があるだけでユーザーがその商品を選ぶかどうかはわかりません。安値の劣化品にはない見た目・肌触り・着心地・通気性など、純国産に商品力があるかどうかによるのではないでしょうか。
≪まとめ≫
ブランドづくりには、商標登録や「お墨付き」など外的なものと、安定した素材の確保や伝統的な製法など内的なものとの両方が必要でしょう。そういう意味で信用力がある外部機関の「お墨付き」は外的なブランドづくりの一手になるかもしれません。
2015年1月4日
著者 ゆうすけ
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