知的財産の見える化が会社にもたらす5つのメリット
知的財産とは、長年試行錯誤して作り上げてきた会社の業務ノウハウ、社員の頭の中にある情報、特許や商標の元になる具体的アイデアの総称です。
しかし知的財産というと特許や商標、つまり知的財産権(独占権)のことを意味する傾向が強いようです。その原因は、知的財産の有効活用のモデルケースが大手企業だからではないでしょうか。アップルの戦略がどの中小企業にも当てはまるわけではありません。
本来は、会社の事業戦略ありきで、そこに知的財産が生まれ、その中から知的財産権の取得をねらうのがあるべき姿です。しかし知的財産権の取得が先行してしまうと、気づけば意味のない特許(負の遺産)を抱えることとなり、事業にまったく役立ちません。
つまり知的財産の見える化をしない限り、適した事業戦略の立案も知的財産権の取得もできないはずなんです。逆にいえば、知的財産の見える化が適した事業戦略や知的財産権の取得のカギを握っているとも言えそうです。
そこで知的財産の見える化が会社にもたらす5つのメリットをまとめました。
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経営者が現場の状況をちゃんと把握できる
経営者が現場のことをわかっていないというのはありがちな話です。会社が成長するにつれて経営者の仕事内容もかわるため、現場に行く機会も減ってしまうからかもしれません。
さらに現場としても責任感を持って仕事はしているものの、経営者にはポジティブな情報しか言わない傾向があります。ネガティブな情報を経営者に伝えたとたん、仕事がやりづらくなったり評価が下がったりするのを避けたい心理が働くからかもしれません。
しかし経営者が現場の状況をちゃんと把握しないかぎり、安定した会社経営は難しくなります。帳簿上は取りつくろっても実は現場で損失出しまくってたり、効率の悪いやり方で無駄なコストがかかっていたりすることがあるからです。
温度差のない事業戦略の立案
そして経営者が現場の状況をちゃんと把握しなければ、事業戦略に温度差が生まれかねません。現場のポテンシャルを信じて高き目標を達成する事業戦略の立案もまた大切ではあります。
しかし経営者が現場の状況を理解しカイゼン点を指摘したうえで現場の能力を引き上げるよう努力しなければ、現場との温度差は高くなる一方です。
現場では誰が何を考えどのように共有されているか?カイゼン点をどのように収集し現場に反映させているか?通常業務の中で他社に勝てる強みはどこか?などがわかった上で立案した事業戦略は、現場との温度差がなく全社的な活動につながるのではないでしょうか。
脱・属人化
モノづくりやサービス業にかかわらず、職人気質な人はどこにでもいます。自分の居場所を確保したいのか、それとも単なるぶっきらぼうなだけなのかわかりませんが、知識や経験を出し惜しみしまくるわけです。
会社としてもこういう人がいたおかげで業務を回せてきたし、なにげに他の社員からも頼られている存在なだけに、仕事抱え込むなとか後輩の教育をしろとか言えない事情もあるようです。
しかしもしその人がいなくなった場合、会社として機能しなくなるリスクが大いにあります。他の人がしらない超マニアックなノウハウは、会社の存続を揺るがしかねない重大な不安要素だからです。
権利化できるアイデアの洗い出し
こうして知的財産の見える化を推進すると、経営者は現場の状況を把握でき情報共有も行われ、温度差のない事業戦略も立てやすく、職人気質でその人しかしらない業務の属人化からの脱却ができます。
そしてこの段階でようやく会社の知的財産の中でさらに独占できそうな(権利化できそうな)アイデアはないかどうかを検討できるわけです。その中には、まだ世の中にない技術的なアイデアや斬新なデザインや商品の魅力を引き出すネーミング案があるかもしれません。
逆にそれは権利化しないで社内だけで外部に漏れないように活用しようとかいうアイデアも出てくるはずです。そうした知的財産活動が会社の基礎体力をつけるわけです。
他社へのライセンス契約のアプローチ
さらに会社の知的財産の見える化を行えば、他社にもライセンス契約のアプローチができます。製品力があれば、他社へその製品づくりを提案しがいがあります。
しかし他社としても設備や人員を増強するため、巨額な投資になりかねません。そのとき説得力あるお膳立てとして、知的財産の見える化でつくった資料がライセンス契約を有利に進める武器になるはずです。
さらに知的財産権という独占的な権利を抱き合わせれば、ライセンス交渉がより一歩進むのではないでしょうか。
≪まとめ≫
会社として、技術・サービス・アイデの蓄積は基礎体力づくりに必要です。場当たりてきな知的財産戦略はもはや通用しない時代。しっかりと知的財産そのものの見える化を行い、適した事業戦略や知的財産権の取得をオススメします。
2014年11月8日
著者 ゆうすけ
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