特許の仕事を頼んできた人の意図を確認する3つのポイント
昨日のライフハッカーで、「マッキンゼーのエリートが大切にした、ダンドリ上手な仕事の進め方」という激しく共感できる投稿(新刊の紹介)がありました。
その中の項目の一つに「「仕事を頼んできた人」の意図を確認する」というのがあって、これを特許や商標の仕事にあてはめてみました。
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「締め切り期日」
つべこべ言わずに早くしろ!と言われたら、ぼくはまずその理由をききます。なぜそのときまでに仕上げなければいけないのか?と。特許や商標など知的財産戦略を取り入れているお客さんにとっての締切には、例えば以下のようなものがあります。
・社内の意識決定会議(取締役会など)
・商品企画・設計決定
・製造・量産開始
・販売・プレスリリース
・他社へのライセンス交渉
・他社からの侵害警告回答
特許や商標の出願に限らず、他社の特許にひっかかってないかどうかの見解、引っかかっている場合の設計変更の提言、もっと上流でいえば、知財戦略方針の立案など、お客さんにとっての期限がなにか?そのデッドラインはMSUTなのか?WANTなのか?その辺をはっきりさせとくべきです。
「なんのための仕事なのか」
たとえば特許を出す意味。これをちゃんと理解しないで出しているお客さんもけっこういます。っていうか、その意味はプロがヒアリングしないといけないわけです。特許を出す意味には、例えば以下のようなものがあります。
・特許をとってライバル企業を訴える(権利行使目的)
・ライバル企業に訴えられたときの交渉カードをもつ(防衛目的)
・アイデアをオープンしてライバル企業に特許をとらせない(オープン目的)
・社内の従業員のモチベーションアップ(インセンティブ目的)
・株主や営業先へのアピール(広報目的)
というように、特許を出すだけでもいろんな目的があります。そしてそれぞれによって特許の内容(クオリティー)、手掛ける時間(コスト)、出すまでの時間(デリバリー)を変えるべきです。
「どんな背景と意図があるのか」
結局、仕事は人対人です。どんなに優秀な人でも、仕事やりにくいな~と思ってしまう人もいれば、逆にこちらも思われているかもしれません。そのような対人関係の壁を取っ払うコツとしては、仕事を依頼されたときにその背景や意図をちゃんと聞いておくことです。特許や商標の仕事でありがちな背景や意図は、大体こんな感じです。
・将来的なマーケット拡大を見越して投資する
・ライバル企業の特許戦略に対抗したい
・技術開発力をあげるためのカンフル剤にしたい
・そろそろ特許をとったほうがいいって周りに言われた
・資金調達源を確保したい
目的よりも先に聞くべきことが多いですね。背景や意図に応じて目的もかわりますし。そして最初にも言いましたが、これらのことを聞くことで、その人の想いが伝わり、共に仕事をしたいと思えるんじゃないでしょうか。
≪まとめ≫
これらの3つの項目は、全ての仕事にとって重要です。その意識があるかないかで、その後の仕事の成果に大きな差が出るでしょう。担当者間の意思疎通がモノをいう特許の仕事では特にです。
2014年8月26日
著者 ゆうすけ
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